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26.西ヨーロッパに侵入するゲルマン諸部族の働き【世界史】

Text:鈴木 旭

ローマ帝国内にゲルマン人が定着し、キリスト教に改宗する。

ゲルマン民族の大移動は、中央アジアに定着していた騎馬民族フン族が西方に移動したのが事の始まりで、東西両ゴート族が押し出されて、様々な部族集団が玉突き現象で移動させられたと説明されてきたが、真相は定かではない。

元々ゲルマン人の農耕は肥料を使わず、また、「三圃(さんぽ)農法」のように農地を休ませながら使うことも知らなかったので、毎年耕作地を変えなければいけなかった。牧畜民が牧草地を求めて移動するのと同じである。徐々に増えてくる人口を養うためには新しい耕作地を開拓し、補充することが絶対的必要条件だったのである。

その結果、西ゴート人はイベリア半島、東ゴート人はイタリア、ブルグンド人は南西フランス、フランク人は北西フランス、アングロサクソン人はブリテン島でそれぞれ建国する。最も移動距離が長く、時間を要したヴァンダル人は、イベリア半島から北アフリカに渡り、かつてのカルタゴに到達し、独自の国造りを進めた。

これらのゲルマン系国家によって西ローマ帝国は滅亡。将来のヨーロッパ世界を予見させるフランク王国が登場するのであるが、奇しくも東アジア世界でも「五胡(ごこ)」という牧畜民集団が出現し、盛んに中国内部に侵入。「五胡十六国」時代という乱世の時代に移る。東西呼応して似たような動きがあったことに注目しておきたい。

結局、ローマ帝国内にゲルマン諸民族が侵入・定着し、キリスト教に改宗して新しい国家と社会の仕組みを作り始めたわけである。従って、ゲルマン諸族の大移動は、ヨーロッパの歴史を古代から中世に切り替えるエポック・メーキング的な事件になったと言ってよい。

 

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 世界史』
著:鈴木 旭 日本文芸社刊

執筆者プロフィール
昭和22年6月、山形県天童市に生を受ける。法政大学第一文学部中退。地理学、史学専攻。高校が電子工業高校だったためか、理工系的発想で史学を論じる。手始めに佐治芳彦氏と共に「超古代文化論」で縄文文化論を再構成し、独自のピラミッド研究から環太平洋学会に所属して黒又山(秋田県)の総合調査を実施する。以後、環太平洋諸国諸地域を踏査。G・ハンコック氏と共に与那国島(沖縄県)の海底遺跡調査。新発見で話題となる。本業の歴史ノンフイクション作家として、「歴史群像」(学研)創刊に携わって以来、「歴史読本」(新人物往来社)、「歴史街道」(PHP)、「歴史法廷」(世界文化社)、「歴史eye」(日本文芸社)で精力的に執筆、活躍し、『うつけ信長』で「第1回歴史群像大賞」を受賞。「面白いほどよくわかる」シリーズ『日本史』『世界史』『戦国史』『古代日本史』はロングセラーとなる(すべて日本文芸社)。他に『明治維新とは何だったのか?』(日本時事評論社)、『本間光丘』(ダイヤモンド社)など著書多数。歴史コメンテーターとして各種テレビ番組にも出演。幅広い知識と広い視野に立った史論が度々話題となる。NPO法人八潮ハーモニー理事長として地域文化活動でも活躍中。行動する歴史作家である。

いま地球規模の「人類史」という観点からも注目され、一方で一般教養、知識としても人気が高い「世界史」。世界規模の歴史を学ぶ上で大切なのは、歴史を流れとして捉えること、歴史にも原因と結果があり「なぜ」そこに至ることになったのか大もとの理由を理解すること、そして見ただけで忘れないようにビジュアルで視覚的覚えること。本書ではさらにアジアや日本の歴史とその役割にも重点を置き、最新の発見や新しい史論を取り入れた、世界史の学び直しにも、入門にも最適な知的好奇心を満足させる1冊。

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