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30.アラブ人以外に一気に拡散するイスラム教【世界史】

Text:鈴木 旭

東で唐と接し、西で東ローマ帝国と接し、両翼で覆う大帝国となる。

ウマイヤ王朝のルーツは、唯一神アッラーの啓示を受け、イスラム教を開教した預言者ムハンマド(マホメット)まで遡(さかのぼ)る。

ところが、ムハンマドは後継者を指名することなく死んだため、ムスリム(イスラム教徒)は動揺し、ムハンマドの友人で義父でもあるアブー・バクルを初代カリフ(神の使徒の代理)に選んだ。事実上、イスラム共同体の指導者である。

イスラム共同体は、カリフ制度の下で四代継続する。その間、ジハード(聖戦)を繰り返し、教えの布教拡大に励んだのであるが、第四代カリフのアリーが、ライバルのシリア総督ムアーウイヤに暗殺されたため、終焉。時代はムアーウイヤが開いたウマイヤ朝時代に移る。

ウマイヤ朝の時代になると、7世紀後半から東西に進撃開始。イスラム世界は一気に拡大する。

東は唐と接するソグド人の地やフエルガーナ地方まで征服。中央アジアのイスラム化へ道を開いた。西では北アフリカを押さえて、ジブラルタル海峡からイベリア半島に進出。711年、西ゴート王国を滅ぼした。

さらにピレネー山脈を越えてフランスに侵入したが、フランク王国軍に撃退される。これから700年以上、ピレネー山脈を境に南のイベリア半島はイスラム世界となる。

東西に翼を広げたウマイヤ朝は、コーランの文句を刻んだアラブ貨幣を鋳造し、公用語をアラビア語に統一する。これでイスラム世界の経済と流通、行政機構は円滑に回り始める。

だが、アラブ人の支配的地位が明白になってくると、被征服地の異民族たちは地租と人頭税の両方を納める不平等に不満を表すようになる。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 世界史』
著:鈴木 旭 日本文芸社刊

執筆者プロフィール
昭和22年6月、山形県天童市に生を受ける。法政大学第一文学部中退。地理学、史学専攻。高校が電子工業高校だったためか、理工系的発想で史学を論じる。手始めに佐治芳彦氏と共に「超古代文化論」で縄文文化論を再構成し、独自のピラミッド研究から環太平洋学会に所属して黒又山(秋田県)の総合調査を実施する。以後、環太平洋諸国諸地域を踏査。G・ハンコック氏と共に与那国島(沖縄県)の海底遺跡調査。新発見で話題となる。本業の歴史ノンフイクション作家として、「歴史群像」(学研)創刊に携わって以来、「歴史読本」(新人物往来社)、「歴史街道」(PHP)、「歴史法廷」(世界文化社)、「歴史eye」(日本文芸社)で精力的に執筆、活躍し、『うつけ信長』で「第1回歴史群像大賞」を受賞。「面白いほどよくわかる」シリーズ『日本史』『世界史』『戦国史』『古代日本史』はロングセラーとなる(すべて日本文芸社)。他に『明治維新とは何だったのか?』(日本時事評論社)、『本間光丘』(ダイヤモンド社)など著書多数。歴史コメンテーターとして各種テレビ番組にも出演。幅広い知識と広い視野に立った史論が度々話題となる。NPO法人八潮ハーモニー理事長として地域文化活動でも活躍中。行動する歴史作家である。

いま地球規模の「人類史」という観点からも注目され、一方で一般教養、知識としても人気が高い「世界史」。世界規模の歴史を学ぶ上で大切なのは、歴史を流れとして捉えること、歴史にも原因と結果があり「なぜ」そこに至ることになったのか大もとの理由を理解すること、そして見ただけで忘れないようにビジュアルで視覚的覚えること。本書ではさらにアジアや日本の歴史とその役割にも重点を置き、最新の発見や新しい史論を取り入れた、世界史の学び直しにも、入門にも最適な知的好奇心を満足させる1冊。

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