明日1月6日から二十四節気は小寒(しょうかん)です。
寒の入りを迎え、地表が凍り、北風と降雪でさらに冷え込みます。
小寒 節の話
お正月明けのこの時季、1月7日には中国から伝わった五節句の1つ、人日(じんじつ)の節句があります。七草がゆを食べ、無病息災を願う。古くから続くこの風習は有名です。
厳しい寒さに耐え、萌え出る若葉は次なる季節への希望
まだ雪深い季節、食料は乏しかったことでしょう。そんな時季に芽吹いた野草を摘みに行くことを若菜摘みといったそう。厳しい寒さに耐え、萌え出る七草の若葉は当時の人々にとって春への希望だったのかもしれません。
芹(せり)、薺(なずな)、御形(ごぎょう)、繁縷(はこべら)、仏の座(ほとけのざ)、菘(すずな)、蘿蔔(すずしろ)、これぞ七草
春の七草を詠んだ有名な歌です。御形はハハコグサ、繁縷はハコベ、仏の座はコオニタビラコ、菘はカブ、蘿蔔はダイコン。
芹は現在でもスーパーで栽培種が売られているのでなじみがあります。ビタミン類も多く、栄養価の高い野草です。
薺はおなじみのペンペン草の若葉です。地面にへばりつくように広がった柔らかな若葉を食します。
御形はあまりなじみがないですが、現在はヨモギで作られている草餅は、かつては御形で作られていたそう。
七草は若葉の時季にだけ採取しますが、繁縷は草質が比較的柔らかく、春過ぎまで採取できる食用の野草とされていました。
仏の座は、春先に小さなピンク色の花を咲かせるシソ科のホトケノザとは別ものです。若干混乱してしまいますが、タンポポの葉に似ており、黄色い小さな花を咲かせます。
菘はいわゆるカブ、そして蘿蔔はダイコンです。七草とはいいますが、この2つは野菜です。この2つが入るだけで七草のおいしさはだいぶ違ったのかもしれません。
私の自宅の裏庭では毎年ハコベがよく育ちます。七草がゆに入っているものを食べているときはあまり味を気にしたことがなかったのですが、単品で食べてみると、まさに野草という草っぽさ。わずかに鼻に抜ける土の香りが心地よく感じました。
湯がいてお浸しにしたり、生のまま煮物に添えたり、和食とはやはり相性がよいようです。私はあんことの組み合わせがお気に入りで、お汁粉などに生のハコベを2、3本添えます。赤茶色のあんこに、柔らかな葉の若草色が映えます。小さな白い花が咲いていたら言うことなし。七草摘みをした古代の人々も、健気な七草の姿を見て心が和んだのかもしれません。
<暮らしのアイデア>レモングラスと鶏手羽先のおかゆ
お正月明けのこの時季は年末年始の疲れが一気に出やすい頃。じっくりと煮込んだ鶏手羽とレモングラスのおかゆで胃腸をやさしくいたわりましょう。滋養強壮や美容に効果が期待できるうれしい栄養がぎっしりです。
彩りには白ゴマや穂ジソ、ユズの皮などでも美しく、おいしくいただけます。ここに七草を加えれば、立派な七草がゆになります。
時間がないときは、だし汁に冷やごはんを入れて煮るのもお手軽です。煮る時間はコクを左右するので、少し味気なさを感じるときは調味料で濃さを調整しましょう。
材料(2人分)
写真左上から
水……600cc
鶏手羽先……4本
米……50g(洗って水を切っておく)
写真左下から
レモングラス……10本 (生。 ドライでも可。ハーブティーを使用する場合は大さじ1)
塩……小さじ1/2
しょうが……1片
クコの実……12個
*レモングラスと塩の分量はお好みで適宜調整する。
下準備
米は洗って水を切っておく。
レモングラスは長さ3~4cmに切る。
ショウガはせん切りにする。
作り方
1.だしがよく出るよう、鶏手羽先の裏面の骨の脇に2カ所切り込みを入れる。
2.鶏手羽先を2つに分ける。
3.鍋に米と塩以外の材料をすべて入れる。
4.鍋を中火にかけ、沸騰させる(沸騰するまでふたをしておく)。
5.沸騰したら米を入れて全体をさっと混ぜる。ふたをして弱火で35~40分煮る。
6.塩を入れて味を調える。レモングラスは口に入ると固いので、器に盛るときは飾り用以外は取り除く。
お好みで、菊の花びら、はこべ、ラディッシュの薄切り(分量外)を添える。
菊には使用上の注意があります。キク科アレルギーの方は仕様をさけましょう。
【書誌情報】
『二十四節気 暦のレシピ』
猪飼牧子・清水美由紀 著
古くから季節を表す言葉「二十四節気 七十二候」をテーマに、季節の移り変わりを花や植物で感じながら、ものづくりの楽しみを提案。小さな変化を繰り返しながら、季節とともに四季をたどっていく植物。その時季の植物をアレンジメントや料理やおやつに生かしたり、心と体を健やかするハーブやアロマを活用したり、ちょっとしたおもてなしの小物をつくったり。二十四節気を植物とものづくりで体感できるアイデアとレシピ120を紹介します。
関連サイト
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公開日:2024.01.05