相手から「してもらったこと」を心に留める
新型コロナウイルスの影響で在宅時間が増えたことにより、夫婦関係に溝ができ、離婚や別居を考えたという人も多いのではないでしょうか。心理学では「好意の返報性」という原理があります。これを端的にいえば「自分が好意を示せば、相手も好意を返してくれる」ということです。
しかし、好意が、必ずしも相手に伝わるとは限りません。夫婦間で「私はこれだけやっているのに、あなたは何もしてくれない」といった不満が噴出するのはその一例です。こういった一方通行の好意がつのると、良好な関係性を築けなくなります。
アメリカの心理学者トラフィモウ・アーメンダリッツらが行った実験で、学生400人に「人にしてあげた親切な行動」と「人にしてもらった親切な行動」を書き出させたところ、前者が後者の35倍もの数にのぼりました。これは人に施すことは、心地よい経験として強く心に残るのに対し、人から受ける親切は、借りができるような心理が働き、無意識に忘れてしまう傾向が強いことを表しています。
つまり「自分ばかり損をしている」といった感情を抱いている人も、じつは相手から受けた好意を忘れているだけかもしれません。こうした行き違いを解消するには「してあげたこと(好意)」よりも「してもらったこと(感謝)」を心に留めるようにすることです。「好意と感謝の好循環」が築ければ、夫婦の絆も深まっていくでしょう
出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 ストレスの話』
【書誌情報】
『図解 ストレスの話』
監修:ゆうきゆう
「ストレス社会」といわれている現在、科学や技術の発達で快適になっていく日々の生活とはうらはらに、ストレスからくる心身の不調に多くの人が悩まされています。ストレスの原因は仕事や学校、家庭、SNSなど人によってさまざま。特に最近では、新型コロナウイルスの影響でこれまでの生活様式が大きく変化し、何かと行動も制限されました。それにより、たまったストレスをうまく発散できずに常にイライラしたり、不安感がいつまでたってもぬぐえずあまり眠れなくなったり…また、ストレスは自律神経を乱す原因になるため、放置すると免疫力も下がり、体の不調を招くことになります。本書では、そんな諸悪の根源であるストレスの解消法を医師が解説。そもそも自律神経が乱れるまでストレスをため込まない男女別の考え方と、たまってしまったらすぐに自宅で解消できる方法を、メンタルマネジメントや栄養、運動など実用的な内容で紹介しています。
公開日:2022.08.08