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ステレオタイプや偏見はどのようにして生まれてしまうのか?【社会心理学】

Text:亀田達也

自己奉仕的バイアス、因果スキーマ

他者の行動原因を考える際、基本的な帰属のエラーによって内的なものを原因とする傾向が強いですが、自分自身の行動の原因を考える場合は、どうなるのでしょうか? ケリーによれば、人は物事が成功した場合は内的なものが原因と考え、失敗した場合は外的なものが原因と考えると語りました。

例えば、料理に挑戦し、成功した場合は自分の腕のおかげであると考え、失敗した場合は「周囲がうるさかった」など、自分以外の存在のせいであると考えるのです。こういった自分に対して、都合のいい考えをもつことを「自己奉仕的バイアス」と言います。自分には甘く、人には厳しいという人は、 自己奉仕的バイアスが強いということになるのです。

また、ケリーは人が偏った憶測をする要因についても解説しています。ひとつ目は「因果スキーマ(因果関係の知識)」。他者の行動を推測する際、その人の内面や行動時の状況といった情報が不足していても、自分の知識や経験から勝手に原因を考えてしまうというものです。ふたつ目は「割引原理」。他者の行動に対して何らかの利益が発生すると感じた場合は、その利益が行動の原因と考え、その人の内面(優しさなど)を考慮しなくなる傾向があります

3つ目は「割増原理」。他者の行動に対して、行動した本人の利益になる要因がないと感じた場合は、その人の内面を見ようとする傾向が強くなるのです。割引原理と割増原理に関しては、同じシチュエーションでも推測する人によって答えが変わります。しかし、たとえそれがいい解釈だとしても偏った憶測であることに変わりありません。

出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 社会心理学』 監修:亀田達也

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多数派の意見に同調してしまうのはどうして?

日本人はよく多数派に同調しやすい、そんなイメージがあるかもしれません。しかし、この傾向はどんな人にも当て余る普遍性を持ったものなのです。なぜ私たちは多数派の意見に同調しやすいのでしょうか?この同調について、有名な実験があります。

この実験はカード①に描かれた線と同じ長さのものを、カード②に描かれた3本の線の中から選ぶというもので、実験には8人の学生が参加しました。回答はひとりずつ順番に行いますが、実は参加者のうち7人は〝サクラ〞で、あらかじめどの線を答えるかを指定されていました。

明らかに間違った答えでも多数派に同調してしまう

この実験の目的は、多数が間違った回答をした場合、被験者はそれに同調するかを調べることで、被験者は7人のサクラの回答を聞いたあと、8番目に回答します。実験は線の長さを変えながら複数回行われましたが、問題自体はいずれもひとりで回答したときは正解率99%というごく簡単なものでした

ところが、7人全員が誤った回答をした条件下だと、被験者による誤答率は32%にも上りました。普通なら間違えようのない問題でも、全員が別の回答を選ぶと、それに大きく影響されてしまうことが明らかとなったわけです。なお、7人のサクラのうち、必ず正解を答える他者がひとりいた場合、被験者の誤答率は5・5%まで低下しました。

会社の会議などでも全員一致の意見に反対するのは勇気がいりますが、ひとりでも反対者がいれば意見を表明しやすくなります。同調を促うながすには全員一致であることが重要で、ひとりでも自分と同じ意見の人がいると、その圧力は大きく弱まるというわけです。

あなたの好奇心をくすぐる面白い知識が満載です

只今紹介した「同調」だけでなく、本書では社会心理学の様々な知識を紹介しています。その数実に56個です!5つのパートに分けて紹介をしているため、気になるパートから読むことが可能です。

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【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 社会心理学』
監修:亀田達也

「社会心理学」は、心理学の中でも重要かつ人気のジャンル。個人同士の協力、競争、攻撃、援助など「他者との関係」、そして集団、組織など個人を取り巻く「社会との関係」をテーマとする「社会心理学」を、わかりやすく、かつ堅苦しくならないように図解・イラストを用いて紹介する。「社会現象と心理学」、「職場における心理学」「社会の在り方と心理学」など、現代日本において興味深く読めるような身近なテーマを立てて、さらにこれまで行われた心理実験と結果など、「心理学」全般の内容を誌面に取り入れて解説する。会社、学校、家庭、友人ーー集団や社会の中の個や対人関係の本質、行動原理を社会心理学から読み解く1冊!

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