アッラー、天使、啓典、預言者、来世、神の予定
イスラム教徒(ムスリム)が真実として信じるのはアッラー、天使、啓典(けいてん)、預言者(よげんしゃ)、来世(らいせ) 、神の予定の六つで、これを「六信(ろくしん)」と呼びます。
イスラム教では、アッラー(神)は唯一絶対にして全知全能、天地万物の創造者、支配者であるとされています。
天使は、神と人間の中間的存在で、神の命令を人間に伝えます。大天使はジブリールとミーカーイール(ミカエル)ですが、このほかにも数多くの天使が存在します。また、悪魔は堕落した天使という考えから、天使の一種に数えられています。
啓典は、『クルアーン』のほか、『旧約聖書』の「モーセ五書」や「詩篇篇」『新約聖書』も含まれます。
預言者には、アダム、ノア、アブラハム、イサク、ヨセフ、モーセ、ヨハネ、イエスなどが含まれます。いずれも、『旧約聖書』や『新約聖書』に登場する人物ですが、ムハンマドは「最後にして最大の預言者」として位置づけられています。
来世とは*終末後の世界。終末が告げられると、死者は墓から出され、神の前で審判されます。信仰が厚く正しい行ないをした者は天国で平安に暮らせ、信仰をせず悪しき行ないをした者は地獄で永劫(えいごう)の罰を受けるのです。
予定とは、過去・現在・未来において、世界と人間に起こるすべての事柄と行為は、あらかじめ定まっているという天命思想です。
この来世や予定という信仰には、イスラム共同体に所属すれば、救いがより確実になるという教えが込められています。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 世界の宗教』
監修:星川啓慈 日本文芸社刊
執筆者プロフィール
1956年生まれ。1984年、筑波大学大学院哲学・思想研究科博士課程単位取得退学。1990年、日本宗教学会賞受賞。現在、大正大学文学部教授。博士(文学)。専門は宗教学・宗教哲学。主な著書に、『言語ゲームとしての宗教』(勁草書房、1997年)、『宗教と〈他〉なるもの』(春秋社、2011年)、『宗教哲学論考』(明石書店、2017年)、『増補 宗教者ウィトゲンシュタイン』(法藏館、2020年)など。
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公開日:2022.04.12