原因不明だと半日以上も止まることも
電車が長時間止まるのには、いろいろな原因があります。まず思いつくのは人身事故ではないでしょうか。また車内アナウンスでよく聞くのが「異常な音を感知」の事例。これは電車が何かを踏んだ場合が多く、運転士が電車を降車して何が原因かを確認します。だいたいはイタズラの置き石が多く、異常がなければ15分前後で運転再開します。このほか、踏切やホームから人が線路内に入ってしまうケースもあります。大事故につながる場合があるので、電車を止めて、その人を路線外に出さなければなりません。自動車などの接触事故では、車が大破し電車が脱線するほどの規模になると、終日運転見合わせになることが多いです。
信号機や架線の故障は、路線全体の安全にかかわるので、原因が特定できないと半日以上止まり続けることも。架線支障で多いのは、強風時にビニール袋などが引っかかってしまう事例です。ときには大型車両が踏切を渡るとき、上部を引っかけて架線を切断する場合もあります。この場合は復旧まで6時間ほどかかってしまいます。最近では台風や大雪、地震などの自然災害の影響も少なくありません。原因が何であれ、電車が運転を見合わせるのは乗客の安全を確保するためなのです。
電車がよく止まるパターン
①車両点検
①車両点検・・・車両ドアやブレーキ装置など、設備の不具合があるときに点検を行います。
②車内点検
②車内点検・・・車内非常ボタンが押された場合や乗客同士のトラブルなどが発生したときに、乗務員が確認作業を行います。
③線路内立ち入り
③線路内立ち入り・・・人が踏切やホームから線路内に侵入した場合や、自動車が踏切内で立ち往生した場合に緊急停止し、安全が確認できるまで運転を見合わせます。
④異音の確認
④異音の確認・・・線路上に置かれた石を踏んでしまう「置き石」が代表的な例。運転士が電車を降りて、目視で異常がないか確認します。
⑤自然災害
⑤自然災害・・・台風や大雪、地震などが発生した際に、安全のために運転を見合わせます。運転に支障をきたすほどの天気予報が出ているときには、計画的に運転を取りやめる場合も。
⑥架線・信号の故障
⑥架線・信号の故障・・・意外と多いのが、風でビニール袋などが架線に引っかかってしまう例。電車が通過してしまうと架線が切れてしまう恐れもあるため、安全確認に多くの時間を要することも。
出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 鉄道の話』 綿貫 渉
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 鉄道の話』
綿貫 渉 著
通勤・通学、旅行・おでかけ…私たちは普段何気なく電車や駅を利用していますが、なぜ安全に時間通りに運行できるのか、遅延や事故・トラブルの際はどう対処しているのか、意外と知らないことも多い鉄道の話。本書では、今さら聞けない基本的なしくみから、知るほど面白い鉄道の歴史まで、図解やイラスト付きでわかりやすく解説します。
公開日:2023.07.04