人身事故の裏側にある現場の連携
人身事故で「運転見合わせ」になった際、運転再開までそれなりに時間がかかるものですが、一体どれくらいかかるのでしょうか。総務省統計局がまとめた『日本の統計2023』によると、全国の鉄道で発生した人身事故は2019年で351件。つまり毎日1件くらいは人身事故が起きています。これだけ頻発している事故なら、電車利用時に遭遇する場合もあるはず。そのときに発生場所がどこであるかを知っておくと、運転再開までの時間を判別することが可能です。
たとえば、駅のホームで人身事故が発生した場合は、都市部の駅であれば救助隊や警察官の到着は通報からおよそ8分。そこから救助や現場検証、安全状況の確認などを行うと、スムーズにいけば運転再開まで40~50分程度です。ただし、状況によってはもっと時間がかかる場合も当然あります。特に時間がかかるのは、人身事故の発生が駅と駅の間で起こった場合です。このような場所だと救助隊や警察官の到着、情報伝達もホームでの人身事故に比べると、タイムラグが生じて遅くなってしまいます。そうなると運転再開まで1時間以上かかることもあります。人身事故が起きた際は、いつどこで起きたか必ず確認し、慌てずに行動しましょう。
人身事故のときの運転再開時間は約50分
人身事故が発生すると、駅員や救助隊、警察官など多くの人が現場に駆けつけて対応をすることになります。そのため長いときでは1時間以上も電車を止める必要があるのです。事故や線路の状況によって時間は前後します。運転再開のめどがつくとアナウンスがあるので、確認するようにしましょう。
人身事故発生時の現場の対応は?
【1】レスキュー隊が負傷者の救助を行う
人身事故が発生したら、 まずレスキュー隊によって負傷者の救助が行われます。
【2】警察官による現場検証
警察官が現場の状況を調査したり、目撃者から事故当時の様子を聞き取ったりします。また遺留品の捜索も行われます。
【3】運転士による車両点検
運転士が線路に降りて、 車両や線路に異常がないか、安全を確認します。
【4】運転再開
確認が終わると運転を再開します。このとき指令所は、乱れたダイヤを戻すために運転間隔や行先変更などの調整を行います。
出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 鉄道の話』 綿貫 渉
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 鉄道の話』
綿貫 渉 著
通勤・通学、旅行・おでかけ…私たちは普段何気なく電車や駅を利用していますが、なぜ安全に時間通りに運行できるのか、遅延や事故・トラブルの際はどう対処しているのか、意外と知らないことも多い鉄道の話。本書では、今さら聞けない基本的なしくみから、知るほど面白い鉄道の歴史まで、図解やイラスト付きでわかりやすく解説します。
公開日:2023.07.05