長い駅名は更新が続いている
日本には約1万の駅が存在しますが、なかには意表をつく面白い駅名があります。たとえば難読で有名なところでは、JR宗谷本線の音威子府駅は「おといねっぷ」駅と読みます。その意味はアイヌ語で「川口のにごっている川」、「川尻を歩くと泥んこになる川」だそうです。本州にある難読駅ではJR山陰本線の特牛駅で、「こっとい」駅と読みます。四国ではJR徳島線の「府中」駅で、これを「ふちゅう」と読んでしまうのは、おそらく関東の人でしょう。徳島線の府中駅は「こう」駅と読みます。
次に「日本一長い駅名」を見てみましょう。それは富山地方鉄道の、読み仮名が32字である「トヨタモビリティ富山Gスクエア五福前(五福末広町)」停留場です。それまで1位だった京福電気鉄道北野線の「等持院・立命館大学衣笠キャンパス前」を抜いて2021(令和3)年に1位になりました。長い駅名は注目を浴び、地域のPRにもなるので、更新され続けています。つまり、駅名が長ければそれだけインパクトがあるので、競争が生まれるのです。反対に「日本一短い駅名」は、JR紀勢本線と近鉄名古屋線、伊勢鉄道伊勢線が交わる津駅です。津駅は「世界一短い地名・駅名」としてギネスに登録されています。
日本の駅名は1文字から32文字まである
日本一長い駅名:トヨタモビリティ富山Gスクエア五福前(五福末広町)
2021(令和3)年1月1日に駅名を変更したと富山地方鉄道の駅。文字表記は25文字、音読数は32文字で、日本一長い駅名です。長い駅名は地域のPRにもなるため、最長記録が更新され続けています。
日本一短い駅名:津
JR東海紀勢本線、伊勢鉄道伊勢線、近鉄名古屋線が通る三重県津市の駅。漢字表記も読み仮名数も1文字の、日本一短い駅名です。
著者厳選!難読駅名5選
大楽毛(おたのしけ)JR根室本線(北海道釧路市)
アイヌ語由来の駅名。「大」をオと読み、「楽」をタノシと読む発想が難しい。
下総松崎(しもうさまんざき)JR成田線(千葉県成田市)
松崎をマンザキと読むのは難しい。下総も下総国を知らないとシモソウと読んでしまいそう。
信貴山口(しぎさんぐち)近鉄信貴線(大阪府八尾市)
山の名前だと分からないと山口をヤマグチと読んでしまう。
浅海井(あざむい)JR日豊本線(大分県佐伯市)
海をムと読むのが難しい。私も一発で読むことはできなかった。
奥武山公園(おうのやまこうえん)ゆいレール(沖縄県那覇市)
沖縄は独特の地名が多そうだが難読駅は少ない。ただしここは難読。
出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 鉄道の話』交綿貫 渉
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 鉄道の話』
綿貫 渉 著
通勤・通学、旅行・おでかけ…私たちは普段何気なく電車や駅を利用していますが、なぜ安全に時間通りに運行できるのか、遅延や事故・トラブルの際はどう対処しているのか、意外と知らないことも多い鉄道の話。本書では、今さら聞けない基本的なしくみから、知るほど面白い鉄道の歴史まで、図解やイラスト付きでわかりやすく解説します。
公開日:2023.07.21