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ジャイアント・インパクトが地球の命運を決めた?【宇宙の話】

Text:渡部潤一

惑星の巨大衝突のおかげで地球は水没をまぬがれた

約45億年前、原始地球にとってとんでもない出来事が起こってしまいました。

それまで、微惑星との衝突・合体は日常茶飯事に起こっていましたが、これとは比較にならないほどの巨大な天体(原始惑星)が、原始地球をかすめるように衝突してしまったのです。

その天体のサイズはいまの火星ほどもありました。この大事件を「ジャイアント・インパクト」と呼んでいます。

これによって、その天体の破片と吹き飛ばされた原始地球の一部が、地球を回りながら集積して月が誕生したという説(ジャイアント・インパクト仮説)がありますが、これは第2章で詳しくお話しすることにします。

ジャイアント・インパクトによって、原始地球の水蒸気の大半が宇宙空間に飛び散り、地表の水は一度干上がってしまいました。

では、現在の地球の水はどこから来たのでしょう?

それは、そのあとに衝突した数多くの隕石に含まれていた水がもとになったと考えられています。

もしこの巨大な衝突がなかったら、原始地球は水を失うことなく、さらにあとからあとからぶつかってくる隕石によって水がもたらされ、地球全体がすっぽりと水没していたかもしれません。

月が誕生すると、月と地球の間の重力の作用によって地球の自転軸の傾きが落ちつき、気候の安定がもたらされました。

月がない地球は1日8時間の猛スピードで回転していて、激しい気流が吹き荒れ、すさまじい海流がぶつかる世界だったと考えられるのです。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 宇宙の話』
監修:渡部潤一 日本文芸社刊

執筆者プロフィール
1960年、福島県生まれ。 1983年、東京大学理学部天文学科卒業、1987年、同大学院理学系研究科天文学専門課程博士課程中退。東京大学東京天文台を経て、現在、国立天文台副台長・教授。総合研究大学院大学教授。太陽系天体の 研究のかたわら最新の天文学の成果を講演、執筆などを通してやさしく伝えるなど幅広く活躍している。主な著書は、『最新 惑星入門』(朝日新書)、『面白いほど宇宙がわかる15の言の葉』(小学館101新書)など。


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