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地球に生命が生息できる環境ってどんなもの?【宇宙の話】

Text:渡部潤一

液体の水が存在することが生命生息の条件

地球の内部に「核」と「マントル」が形成され、表面が「海」と「大気」「地球磁場」で覆われてきたことをお話ししました。

38億年前までに原始地球を舞台にでき上がったこうした環境こそ、地球が生命をはぐくむために準備されたシステムといえるものです。

ドロドロに溶けた鉄が地球の中心部に集まってできた「核」は、流動することによって電流が生じ、「地球磁場」ができます。これが、生物に有害な太陽風などをさえぎってくれます。

ちなみに、現在の地球は固体の鉄からなる「内核」と、溶けた鉄からなる「外核」に分かれていて、外核の鉄が流動することで地球磁場が保たれています。

そのころの「大気」には二酸化炭素などの温室効果ガスが大量に含まれていましたから、地球表面の水は凍ることなく液体の状態で存在できました。

実は、生命が生息するための絶対条件が液体の水があるということなのです。

「海」は、太陽の熱で温められた赤道付近から、温まりにくい極エリアへと熱を運び、地球全域をまんべんなく温める役割を果たしていました。

「マントル」は、「核」の熱によってお風呂のお湯のようにゆっくりと沸き上がり、沈み込むマントル対流を繰り返していました。

この過程で「熱水噴出孔」などによって生命のエネルギー源になる物質がつくり出されてきました。また、マントル対流によって陸地もだんだんと形成されてきました。

これらの要素がさまざまに絡み合って、地球が「生命のゆりかご」となっていったのでしょう。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 宇宙の話』
監修:渡部潤一 日本文芸社刊

執筆者プロフィール
1960年、福島県生まれ。 1983年、東京大学理学部天文学科卒業、1987年、同大学院理学系研究科天文学専門課程博士課程中退。東京大学東京天文台を経て、現在、国立天文台副台長・教授。総合研究大学院大学教授。太陽系天体の 研究のかたわら最新の天文学の成果を講演、執筆などを通してやさしく伝えるなど幅広く活躍している。主な著書は、『最新 惑星入門』(朝日新書)、『面白いほど宇宙がわかる15の言の葉』(小学館101新書)など。


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