中生代最後の暴君竜には羽毛が生えていた?
ティラノサウルスは、恐竜の栄えた中生代白亜紀のもっとも終わりの時期の北米大陸西部に登場した二足歩行をする肉食恐竜です。
名前は「暴君竜」という意味で、体長は約12メートル、体高約3メートル、体重約6トンという巨体に加え、最大 センチの長い歯には短剣のようにギザギザがついていました。
頭の骨の構造を現在の動物と比較したある試算では、ティラノサウルスの噛む力は約5万7000Nで、世界最大のイリエワニの1万6000N、ライオンの3800Nを遥かにしのぐと考えられています。まさに「暴君」らしい迫力だったことでしょう。
ティラノサウルスは獣脚類のなかで、コエルロサウルス類の仲間に分類される恐竜です。このグループに属する恐竜のほとんどに羽毛があり、鳥類もここに含まれています。では、ティラノサウルスはどうだったのでしょうか。
2004年、中国から、ほぼ全身が羽毛におおわれていたとみられるディロングという白亜紀前期のティラノサウルス類が報告されます。この頃から、多くの専門家がティラノサウルスにも羽毛があったのではないかと考えるようになりました。
しかし、大型恐竜が羽毛におおわれていると体温が上がり過ぎるのではないかという疑問や、首や腰から尾にかけてはウロコだったという調査結果が2017年に発表されたことなどから、どの程度羽毛は生えていたのか、まだはっきりした結論は出ていません。
2019年には、カナダでこれまででもっとも重い8.85トンのティラノサウルスが見つかっています。
毛むくじゃらだった? ティラノサウルス
ティラノサウルス
中世代白亜紀末期 獣脚類 獣脚類
コエルロサウルス類
体高約3メートル
「T(ティラノサウルス)・レックス」に羽毛が生えていたのか多くの恐竜ファン長年の悩みの種でもある。現在は、書籍などでこのような復元図が増えつつある。
今後の学説次第だが、「羽毛つきT・レックス」が常識になる未来も近いのかもしれない。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 古生物の話』代表監修:大橋 智之
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 古生物の話』
代表監修:大橋 智之
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公開日:2025.03.15
