間接的な情報で無意識に訴える【ズルい言い換え事典】
プライミング効果の有効活用
人の興味をひきたいときに、あまりにストレートに答えを求めるのは得策ではない。心理学者キャスリーン・ヴォースの実験によると、人は意味づけをされると好印象を持つ傾向にあるという。
普通のケーキよりもバースデイケーキと言われた方がおいしく感じられるのがその典型だ。つまり「はじめてつくった」とか「あなたのために制作した」という意味づけが、人や物の印象をアップさせるのだ。
また、事前に受けた刺激が、無意識のうちにのちの行動に結びつく「プライミング効果」というものがある。カレーの香りを偶然嗅ぐと昼食にカレーが食べたくなるのはそのためだ。人は、間接的な情報や意味づけされた情報に大きく影響されるのだ。
間接的なアピールで能動的に選択させる
例えばカレーなら「スパイスにやみつき!」などの間接的な言葉などで、誘導すること。
写真、文字により潜在意識に刷り込む
アピールしたい事柄をシンプルに写真や文字で見えるようにしておく。
【出典】『ズルい言い換え事典』
監修:齊藤 勇 日本文芸社刊
執筆者プロフィール
1943年山梨県生まれ。文学博士。対人心理学者。早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了。立正大学心理学部名誉教授、大阪経済大学客員教授、日本ビジネス心理学会会長、日本あいづち協会理事長。
「お世辞感を出さずにうまくほめて相手の懐にはいりたいとき」「自分の立ち位置を守るべく、肯定も否定もせずにその場をのりきりたいとき」職場や家族、恋人、友人などの人間関係をなるべくストレスなく過ごすために、自分の求めている返答や行動を相手から引き出したい瞬間は多くあります。そのときにひとこと言い換えるだけで、相手を自在にあやつる言葉の言い回しのコツを紹介します。実際に心理学者たちがおこなった心理学実験や、深層心理をもとにその言い換えをすることでもたらす心理効果を解説。人間の思考のメカニズムも学ぶことができます。思い通りに人を動かしたい人だけでなく、人にマイナスイメージをもたれたり、自分のもつキャラクターを傷つけたりすることを恐れる繊細な人が対人回避術として使用することもできる一冊。
公開日:2023.08.21