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発達障害の原因は脳機能の違いによるもの?!ここからが「発達障害」という明確な境界は存在する?【心と行動がよくわかる 図解 発達障害の話】

Text:湯汲英史

「定型発達」と「非定型発達」とは?

発達障害は、先天的な脳機能の障害などが原因であることは、すでに説明した通りです。それでは、脳にどんな障害が起きてしまい、それがどんな問題を引き起こすのかを見ていきましょう。

先天的な脳機能の障害がない場合、人間の脳は成長に合わせてさまざまな機能がバランスよく発達します。これを「定型発達」と言い、発達障害ではない多数派の人、つまり「普通の人たち」のことです。

一方、生まれつき脳機能の一部に障害がある場合、定型発達の人とは異なり、成長に合わせてきちんと発達する機能と発達しない機能が出てきてしまいます。つまり、発達の程度が機能によって差がある状態になっており、これが「非定型発達」です。

非定型発達の人は、あることは定型発達の人と同じようにできますが、別のことはまったくできないというアンバランスな状態になりやすくなります。また、各機能の連携がうまくできないといった問題も起こります。そのため、定型発達の人が大多数の社会では、できないことが原因で、社会生活を送るうえで困難に直面することになってしまうのです。

ただし、非定型発達であっても、発達の度合いが著しく遅れていなければ、普通の生活ができることもあります。同様に定型発達でも、発達の度合いには個人差があるため、非定型発達のような特性を見せる人もいます。そのため、発達障害と診断されなくても、発達障害的な特性を持っている人は少なくないということは覚えておいてください。

発達障害の原因は脳機能の違いによるもの?!ここからが「発達障害」という明確な境界は存在する?【心と行動がよくわかる 図解 発達障害の話】

【出典】『心と行動がよくわかる 図解 発達障害の話』
監修:湯汲英史(ゆくみえいし)  日本文芸社刊

監修者プロフィール
公認心理師・精神保健福祉士・言語聴覚士。早稲田大学第一文学部心理学専攻卒。現在、公益社団法人発達協会常務理事、早稲田大学非常勤講師、練馬区保育園巡回指導員などを務める。 著書に『0歳~6歳 子どもの発達とレジリエンス保育の本―子どもの「立ち直る力」を育てる』(学研プラス)、『子どもが伸びる関わりことば26―発達が気になる子へのことばかけ』(鈴木出版)、『ことばの力を伸ばす考え方・教え方 ―話す前から一・二語文まで― 』(明石書店)など多数。


<この一冊で発達障害の最新事情と正しい知識がわかる!>ここ13年で10倍に増えたとされる「発達障害」。昨今はADHDやアスペルガーといったワードが一般の人たちにも普及したことにより、病院への受診率が増え、自分や子ども、家族に対して発達障害かも、と感じる人たちが増えている印象です。特に近年、「グレーゾーン」や「気になる子」といった発達障害かもしれない人や子どものことをさす用語も一般的に浸透するほど、関心の高いテーマになっています。そんな発達障害について知りたい人に向け、発達障害の正しい知識や最新の情報から、周りのサポート法、対処法を図解とイラストでわかりやすく解説します。本人が気にしている、周りの人も気になるような発達障害の人の言動について、本人はどう考えてそのような行動をとったり、発言したりしているのかなど、物事を考える背景や手順を解説した上で、本人ができる対処法やそれに対する周りのサポート法、心構えを実例も交えて具体的に紹介します。発達障害かもしれないと思っている当事者、知人友人恋人など周囲の人が発達障害かもしれないと思っている人、自分の子どもが発達障害かもしれないと思っている親など、発達障害の知識を広げたい、理解したいと考えている方にぜひ手に取っていただきたい一冊です。

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