・言語の習得と使用に問題がある
・言葉をうまく発することができない
・言葉がなめらかに出てこない
・社会的な状況に応じたコミュニケーションが苦手
・状況に応じた適切な会話ができない
言葉によるコミュニケーションが苦手
「コミュニケーション症群(CD)」は、言語の習得や使用が困難であったり、言葉にして話すことが苦手であったり、正しく発音できなかったりといった問題で、他者とのコミュニケーションに問題が生じてしまう特性です。
現れる特性によって、言語の習得が困難で話し言葉によるコミュニケーションがうまくできない「言語症」、正しく発音することができない「語音症」、言葉がなめらかに出てこない「小児期発症流暢症」、社会的な状況に応じたコミュニケーションが困難な「社会的コミュニケーション症」、それ以外の特性があり日常的なコミュニケーションが困難な「特定不能のコミュニケーション症群」の5つに分類されます。
言葉のことでからかわれたり、いじめられたりすることで対人関係に問題が生じてしまうことも多いため、学業不振や不登校などの問題を併発する可能性もあります。
なお、人間関係が苦手なことを意味する俗語として「コミュ障」という言葉が使われるようになっていますが、発達障害のコミュニケーション症群とはまったく関係ありません。
<ミニコラム> 症状の分類はあくまでも目安その人の抱えている困難を理解しよう!
コミュニケーションの特性によって、症状の分類をするのは必ずしも適切でない場合もあります。いくつかの特性が重なったり、あるいはそれが個性の範疇に入ることもあったりするからです。とはいっても、日常で困難を抱えている人もいるので、そのことを理解することも必要です。相手の困難を理解したうえで、共感することも大切なことなのです。
【出典】『心と行動がよくわかる 図解 発達障害の話』
監修:湯汲英史(ゆくみえいし) 日本文芸社刊
監修者プロフィール
公認心理師・精神保健福祉士・言語聴覚士。早稲田大学第一文学部心理学専攻卒。現在、公益社団法人発達協会常務理事、早稲田大学非常勤講師、練馬区保育園巡回指導員などを務める。 著書に『0歳~6歳 子どもの発達とレジリエンス保育の本―子どもの「立ち直る力」を育てる』(学研プラス)、『子どもが伸びる関わりことば26―発達が気になる子へのことばかけ』(鈴木出版)、『ことばの力を伸ばす考え方・教え方 ―話す前から一・二語文まで― 』(明石書店)など多数。
<この一冊で発達障害の最新事情と正しい知識がわかる!>ここ13年で10倍に増えたとされる「発達障害」。昨今はADHDやアスペルガーといったワードが一般の人たちにも普及したことにより、病院への受診率が増え、自分や子ども、家族に対して発達障害かも、と感じる人たちが増えている印象です。特に近年、「グレーゾーン」や「気になる子」といった発達障害かもしれない人や子どものことをさす用語も一般的に浸透するほど、関心の高いテーマになっています。そんな発達障害について知りたい人に向け、発達障害の正しい知識や最新の情報から、周りのサポート法、対処法を図解とイラストでわかりやすく解説します。本人が気にしている、周りの人も気になるような発達障害の人の言動について、本人はどう考えてそのような行動をとったり、発言したりしているのかなど、物事を考える背景や手順を解説した上で、本人ができる対処法やそれに対する周りのサポート法、心構えを実例も交えて具体的に紹介します。発達障害かもしれないと思っている当事者、知人友人恋人など周囲の人が発達障害かもしれないと思っている人、自分の子どもが発達障害かもしれないと思っている親など、発達障害の知識を広げたい、理解したいと考えている方にぜひ手に取っていただきたい一冊です。
公開日:2024.06.12