右手とクラブの角度はインパクト=アドレス
【部位】左手首、右手首 【機能】クラブをライ角通りに使う
「タメる」意識が必要な人もいる
親指方向に手首を折る動き、つまりコッキングの動きがスイング中、どう変わっていくのが理想なのかを説明しましょう。ライ角通りにセットしているならば、インパクトでアドレスのときの位置や角度にクラブを戻すのが理想です。そのためには、手首のコッキングの角度をアドレスのときと同じに戻すことが究極の理想となります。もちろん、この角度が変わっても、ほかの要素を調整することで意図どおりに打っている人もいます。
ちなみにアドレスのときの腕とクラブの角度はドライバーで、PGAツアーの平均が134度です。「ノーコック打法」という打ち方が流行した時期もありましたが、クラブに働く遠心力は、手首の力が耐えられる程度の大きさではないので、コッキングの動きがまったく入らないということはあり得ません。でも、「動かさない」つもりで振ることで、インパクトで元に戻しやすくなる効果が出た人もいたということです。
実際にはヘッドの重さでコッキングの動きは自然に生じます。早めに動かすパターンを「アーリーコック」、遅めに動かすパターンを「レイトコック」と言いますが、どちらのパターンでもP4で腕とクラブの角度は90度くらいになります。そのあと、下半身がダウンスイングを始めることでこの角度はさらに多少深まり、そのあとで戻り始めます。
P6で、プロの平均が120度と、かなりインパクトの状態に近づいています。コッキングした状態をキープする、いわゆる「タメ」をつくって一気に戻して叩くイメージがあるかもしれませんが、プロでもP6で半分以上戻っているのが実際の姿なのです。そしてP7で元に戻ります。
実際には、クラブヘッドには大きな遠心力が働くため、手首の角度は伸ばされようとしています。それに対抗するのは、ある程度「この角度をキープする」という意識とそれによって自然に発揮される力、そしてこれをキープしやすくした握り方の工夫による力なのです。
●P4で90度
ヘッドの重さによって手首が親指方向に折れる。トップでほぼ90度くらいになるのが目安。
●P6で120度
クラブが水平まで下りてきたときに、手首の角度は120度まで広がっている。
●P7で140度
インパクトではアドレスのときの140度に戻る。それがライ角通りに使うカギだからだ。
出典:『ゴルフ当たる!飛ばせる!スウィング解剖図鑑 イラストでわかる身体とクラブの正確な使い方』著/奥嶋誠昭
【レッスンプロ情報】
●奥嶋誠昭
1980年生まれ。ツアープロコーチ。アマチュアゴルファーからツアープロまで最先端機器を使ったバイオメカニクス(動作のコツを解析する)をもとに、ゴルファーの要望に合ったスイングづくりに定評がある。JGTOツアープレーヤー。2020―2021年国内女子ツアー賞金王、東京五輪銀メダリストの稲見萌寧など、数多くのトッププロ選手の指導実績を持つ。
【書誌情報】
『ゴルフ 当たる! 飛ばせる!スウィング解剖図鑑 イラストでわかる身体とクラブの正確な使い方』
著者:奥嶋誠昭
スウィングづくりやスウィングレッスンをテーマとする多くのゴルフ書は、写真、動画などの映像を使ってスウィング時の身体の動きを解説する。
その見せ方では、手や足、身体の動きや動かし方は表現できても、例えば「インパクトを感じる手の感覚」「インパクト時の足の感覚」といった、スウィング時の身体が感じる感覚までは伝えづらい。そこで本書では、スウィングで体感する手や足の感覚をイラストでできる限り具体化し、読者にその感覚をつかんでもらい、スウィングづくりの向上を目指す。著者は、スウィングの解析システムを駆使し、プロ、アマ問わず多くのゴルファーのスウィングを分析している奥嶋誠昭プロ。同プロ独自のスウィング動作をイラストを通して解剖、図解化し、ゴルフスウィングの上達に役立てる。
公開日:2023.12.11