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右手首の角度を残した状態で打つとインパクトに力を加えられる理由とは?【ゴルフ当たる!飛ばせる!スウィング解剖図鑑/奥嶋誠昭】

Text:奥嶋誠昭

右手首の角度を残した状態で打つ

【部位】右手首 【機能】ボールを押し込む

重さでヘッドは落ちてくる

では、ヒンジングの動きについてはどうでしょう。これもやはり、コッキングの動きと同じように動いていきます。つまり、バックスイングで折れていき、トップから切り返しの動きの中で最大に折れ曲がってから、戻っていきます。この動きについては、インパクトでアドレスのときの状態に戻ればいいとも言えますが、一般的にはアドレスのときよりも手首の角度がついたハンドファーストの形でインパクトするのが理想とされます。

いずれにしても、最大に右手首の角度がついた切り返し後の状態から、ダウンスイングではどんどん角度がほどかれていきます。そして、インパクトは右手首がある程度曲がった状態で迎えているのです。この形をつくれば、曲がっているものを伸ばすときの力で、ボールを押し込む感覚が持てます。多くのゴルファーにとってなかなか身につかないのが、この「ハンドファーストの形でのインパクト」です。その理由として最近わかったことを紹介しておきます。

シャフトにかかる負荷を測定したデータがヒントをくれました。スイング中に、シャフトにかかる負荷は、タテにかかっているフェーズとヨコにかかっているフェーズが明確に分かれるということがわかったのです。うまいプレーヤーに共通してみられるのは、インパクトの0・1秒前、ポジションで言えばP6の少し後くらいまではタテに負荷がかかっていて、それがその0・1秒前に一気にヨコの負荷に切り替わります。

シャフトの負荷がタテにかかるだけという認識で振っているかぎり、ヨコの動きをつくることはできません。そのため、タテに手首がほどかれる(コックがほどかれる)際、ヨコの角度もほどかれてしまうのです(ヒンジがほどかれる)。だからハンドファーストのインパクトになりません。このフェーズの切り替えをスイングイメージの中に組み込むことが、手首の理想の動きを身につける助けになると考えられます。

●角度を残した状態で当たる

角度を残した状態で当たる『ゴルフ当たる!飛ばせる!スウィング解剖図鑑 イラストでわかる身体とクラブの正確な使い方』

手首の角度は切り返し直後に最も深まり、ダウンスイングでほどかれていく。その過程で、まだ完全にほどかれる前の「角度を残した」状態でインパクトを迎える。角度を残しているからこそインパクトに力を加えられる。

出典:『ゴルフ当たる!飛ばせる!スウィング解剖図鑑 イラストでわかる身体とクラブの正確な使い方』著/奥嶋誠昭

【レッスンプロ情報】
●奥嶋誠昭
1980年生まれ。ツアープロコーチ。アマチュアゴルファーからツアープロまで最先端機器を使ったバイオメカニクス(動作のコツを解析する)をもとに、ゴルファーの要望に合ったスイングづくりに定評がある。JGTOツアープレーヤー。2020―2021年国内女子ツアー賞金王、東京五輪銀メダリストの稲見萌寧など、数多くのトッププロ選手の指導実績を持つ。

【書誌情報】
『ゴルフ 当たる! 飛ばせる!スウィング解剖図鑑 イラストでわかる身体とクラブの正確な使い方』
著者:奥嶋誠昭

スウィングづくりやスウィングレッスンをテーマとする多くのゴルフ書は、写真、動画などの映像を使ってスウィング時の身体の動きを解説する。
その見せ方では、手や足、身体の動きや動かし方は表現できても、例えば「インパクトを感じる手の感覚」「インパクト時の足の感覚」といった、スウィング時の身体が感じる感覚までは伝えづらい。そこで本書では、スウィングで体感する手や足の感覚をイラストでできる限り具体化し、読者にその感覚をつかんでもらい、スウィングづくりの向上を目指す。著者は、スウィングの解析システムを駆使し、プロ、アマ問わず多くのゴルファーのスウィングを分析している奥嶋誠昭プロ。同プロ独自のスウィング動作をイラストを通して解剖、図解化し、ゴルフスウィングの上達に役立てる。

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