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スイングでは左腕をムチのように使うべき理由とは?【ゴルフ当たる!飛ばせる!スウィング解剖図鑑/奥嶋誠昭】

Text:奥嶋誠昭

クラブの動きに合わせてヒジは自然に使われる

【部位】左ヒジ 【機能】腕をムチのように使う

左ヒジは自然に伸びた状態を保つ

ヒジができることは、伸ばして曲げる1方向の動きだけです。左ヒジから見てみましょう。P1では「リキまず、ゆとりのある状態」でセットします。ヒジの角度はPGAのプロの平均で6度。ちなみに右ヒジも同じ角度です。左ヒジについては、スイングを通してこの状態を保つイメージで。つまり、曲げたり伸ばしたりする意識は持たず、クラブの重さに任せます。

プロのスイングを見るとトップで左ヒジが伸びているように見えますが、PGAプロ平均データで18度。ゆとりを持った状態を保っています。ダウンスイングでは、P5で15度といったん広がりますが、P6では一転して24度に曲がります。これは遠心力に対抗するための反応でしょう。そして、その後再び伸ばされますが、P7で15度。伸びきった状態ではないのです。

インパクトで左腕を伸ばそうとする人が多いのですが、もちろん伸びているプロもいますけれど、伸ばしていない人も多いのです。曲がっていても決して間違いではないので、それでうまく打てている人は伸ばそうとしなくていいことを理解してください。PGAプロのデータでもうひとつ、P8で8度、さらにP9でも3度と伸びた状態のまま、左ヒジをたたんでいない点も指摘しておきます。

両腕の三角形とスイングアークの大きさ

アドレスのときに「両腕(と両肩を結ぶライン)でできる三角形」があります。この形を変えないように振る、という教え方があります。しかし、バックスイングでは右ヒジを、フォロースルーでは左ヒジを曲げなければ、クラブはある程度以上、上がっていきません。ヒジを曲げれば、当然この三角形は崩れてしまいます。

どうなっていればいいかというと、三角形のイメージを持てる程度に形をとどめていればいい、という感覚です。三角形と思えないほどつぶれてしまうようでは、ダウンスイングの再現性において問題が出ます。目安としては、この三角形の頂点である手の位置が胸の前から外れない範囲にとどめるといいでしょう。

●左腕をムチのように使う

左腕をムチのように使う『ゴルフ当たる!飛ばせる!スウィング解剖図鑑 イラストでわかる身体とクラブの正確な使い方』

左ヒジは伸ばそうとも曲げようともしないで、クラブの重さに任せて使う。それによってムチのようにしなり、エネルギーを生み出す。

●手の位置は胸の前

手の位置は胸の前『ゴルフ当たる!飛ばせる!スウィング解剖図鑑 イラストでわかる身体とクラブの正確な使い方』

両腕でつくる三角形の頂点である手の位置は、ヒジが曲がると左右にズレる。しかし、三角形の底辺である胸の正面から外れないほうがいい。

出典:『ゴルフ当たる!飛ばせる!スウィング解剖図鑑 イラストでわかる身体とクラブの正確な使い方』著/奥嶋誠昭

【レッスンプロ情報】
●奥嶋誠昭
1980年生まれ。ツアープロコーチ。アマチュアゴルファーからツアープロまで最先端機器を使ったバイオメカニクス(動作のコツを解析する)をもとに、ゴルファーの要望に合ったスイングづくりに定評がある。JGTOツアープレーヤー。2020―2021年国内女子ツアー賞金王、東京五輪銀メダリストの稲見萌寧など、数多くのトッププロ選手の指導実績を持つ。

【書誌情報】
『ゴルフ 当たる! 飛ばせる!スウィング解剖図鑑 イラストでわかる身体とクラブの正確な使い方』
著者:奥嶋誠昭

スウィングづくりやスウィングレッスンをテーマとする多くのゴルフ書は、写真、動画などの映像を使ってスウィング時の身体の動きを解説する。
その見せ方では、手や足、身体の動きや動かし方は表現できても、例えば「インパクトを感じる手の感覚」「インパクト時の足の感覚」といった、スウィング時の身体が感じる感覚までは伝えづらい。そこで本書では、スウィングで体感する手や足の感覚をイラストでできる限り具体化し、読者にその感覚をつかんでもらい、スウィングづくりの向上を目指す。著者は、スウィングの解析システムを駆使し、プロ、アマ問わず多くのゴルファーのスウィングを分析している奥嶋誠昭プロ。同プロ独自のスウィング動作をイラストを通して解剖、図解化し、ゴルフスウィングの上達に役立てる。

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