骨盤を回すために前傾はほどける
【部位】骨盤と腰椎 【機能】前傾の維持
プロは骨盤を傾け続けていない
骨盤の前傾について、PGAツアーのドライバーでの平均データを見るとP1では約6度という、わずかな傾きです。この角度は、地面に対してなので、太モモに対してはもう少し角度がついている、つまり脚と体幹の角度はもう少し狭まっていると考えていいでしょう。骨盤の前傾についてのデータをもう少し観てみましょう。P2、P3とほぼ変わりませんが、P4では3度弱まで前傾角度が減り、さらにP5で1度。そしてP6で後ろに7度。P7では12度後傾、P9で15度と後傾していきます。
ダウンスイングでなぜ骨盤が後傾していくかというと、より速く回転しやすい状態をつくろうとした結果ということでしょう。しかし、スイングの見た目としては前傾をキープしているように見えます。簡単に言えば、骨盤は後傾していても、背骨の上のほうで前傾をつくっているためです。前傾自体がなくなったわけではないことは理解してください。ただ、一般のゴルファーに教える際には、「ダウンスイングでも骨盤の前傾をキープする意識を持ちましょう」と伝えます。そのほうがいい動きになるためです。ダウンスイングの始まりには、体幹の回転によって腕を下ろし、クラブを下ろす動きがあり、力の向きを下向きにすることがカギとなります。そのためには骨盤を前傾させたままダウンスイングの回転をつくるイメージのほうが合うようです。
●骨盤の前傾は浅くなる
ダウンスイングでは、骨盤を前傾させた状態で回転する意識を持つと、力を下(ボール方向)に向けながら手とクラブを下ろしていける。だが、回転が速くなると骨盤は自然に起き上がってくる。
出典:『ゴルフ当たる!飛ばせる!スウィング解剖図鑑 イラストでわかる身体とクラブの正確な使い方』著/奥嶋誠昭
【レッスンプロ情報】
●奥嶋誠昭
1980年生まれ。ツアープロコーチ。アマチュアゴルファーからツアープロまで最先端機器を使ったバイオメカニクス(動作のコツを解析する)をもとに、ゴルファーの要望に合ったスイングづくりに定評がある。JGTOツアープレーヤー。2020―2021年国内女子ツアー賞金王、東京五輪銀メダリストの稲見萌寧など、数多くのトッププロ選手の指導実績を持つ。
【書誌情報】
『ゴルフ 当たる! 飛ばせる!スウィング解剖図鑑 イラストでわかる身体とクラブの正確な使い方』
著者:奥嶋誠昭
スウィングづくりやスウィングレッスンをテーマとする多くのゴルフ書は、写真、動画などの映像を使ってスウィング時の身体の動きを解説する。
その見せ方では、手や足、身体の動きや動かし方は表現できても、例えば「インパクトを感じる手の感覚」「インパクト時の足の感覚」といった、スウィング時の身体が感じる感覚までは伝えづらい。そこで本書では、スウィングで体感する手や足の感覚をイラストでできる限り具体化し、読者にその感覚をつかんでもらい、スウィングづくりの向上を目指す。著者は、スウィングの解析システムを駆使し、プロ、アマ問わず多くのゴルファーのスウィングを分析している奥嶋誠昭プロ。同プロ独自のスウィング動作をイラストを通して解剖、図解化し、ゴルフスウィングの上達に役立てる。
公開日:2024.01.28