体幹は回転、側屈だけでなく屈曲と伸展の動きもしている
【部位】腰椎と胸椎 【機能】屈曲、伸展
胸が反るようにしてトップを大きくする
もうひとつ、体幹の動きで見逃しがちな要素が、上下方向です。ここでは、前傾角度とも関係の深い、骨盤と胸郭の角度がどう変わっていくかを見てみましょう。まず注目は、P1では骨盤が6度前傾、胸郭は38度の前傾という点。見た感じでは背筋を真っすぐ伸ばしているように見えますが、背骨の途中で前傾を深めているわけです。P3までほぼ変わらず体が回っていきますが、P4では胸郭の角度だけが小さくなります。つまり胸の部分で少し起き上がり、それによって大きなトップをつくっているのです。
●胸を起こして回転を補助する
P3からP4にかけて、胸を張るようにして胸郭を起こし、トップをより深く高くしていく。また、この動きによって、頭をアドレスのときの位置を保つことができる。
ダウンスイングでは体幹の上部で前傾をつくる
ダウンスイングでは、P5で骨盤がほぼ直立の状態に起き上がることは先ほど説明しました。スムーズに回転するためでした。しかし、体幹全体が立ち上がってしまうとクラブヘッドがボールに届かなくなります。そのため、体幹の上部では前傾し、クラブヘッドがボールに届くようにします。その動きが現われているのが、胸郭の前傾データです。P4で30度だったものが、P5で32度、P6で41度となっています。そしてインパクトゾーンを通してこの角度はキープされています。それによって確実にヘッドがボールに届き、そして、ライ角通りにクラブを使ってのインパクトを実現することができます。
●骨盤が立つ代わりに胸郭で前傾角度をつくる
切り返しからは骨盤が起き上がり、後傾する。それに対して、胸郭が前傾をつくり、体とボールの距離を一定に保っている。
出典:『ゴルフ当たる!飛ばせる!スウィング解剖図鑑 イラストでわかる身体とクラブの正確な使い方』著/奥嶋誠昭
【レッスンプロ情報】
●奥嶋誠昭
1980年生まれ。ツアープロコーチ。アマチュアゴルファーからツアープロまで最先端機器を使ったバイオメカニクス(動作のコツを解析する)をもとに、ゴルファーの要望に合ったスイングづくりに定評がある。JGTOツアープレーヤー。2020―2021年国内女子ツアー賞金王、東京五輪銀メダリストの稲見萌寧など、数多くのトッププロ選手の指導実績を持つ。
【書誌情報】
『ゴルフ 当たる! 飛ばせる!スウィング解剖図鑑 イラストでわかる身体とクラブの正確な使い方』
著者:奥嶋誠昭
スウィングづくりやスウィングレッスンをテーマとする多くのゴルフ書は、写真、動画などの映像を使ってスウィング時の身体の動きを解説する。
その見せ方では、手や足、身体の動きや動かし方は表現できても、例えば「インパクトを感じる手の感覚」「インパクト時の足の感覚」といった、スウィング時の身体が感じる感覚までは伝えづらい。そこで本書では、スウィングで体感する手や足の感覚をイラストでできる限り具体化し、読者にその感覚をつかんでもらい、スウィングづくりの向上を目指す。著者は、スウィングの解析システムを駆使し、プロ、アマ問わず多くのゴルファーのスウィングを分析している奥嶋誠昭プロ。同プロ独自のスウィング動作をイラストを通して解剖、図解化し、ゴルフスウィングの上達に役立てる。
公開日:2024.02.17