股関節のねじれで体幹の回転を受け止める
【部位】股関節 【機能】脚の付け根からねじる
腰を切り上げる動きは股関節で起きている
「股関節」の項目としましたが、股関節というより、脚の付け根部分と考えると、動きをつくりやすくなると思います。脚は根元からねじれます。胴体(骨盤)を止めておいてヒザを持ち上げた状態から、ヒザを外に開いたり閉じたりする動きです。この動きを、逆に、足を地面につけた状態で、さらに、股関節から前傾させておいて行なってみると、スイングの際の体幹の回転になります。さらになおかつ、ヒザを前に向けたまま行なってみると、いわゆる「腰を切り上げる」動きになっていると思います。
昔から「腰を切り上げる」という言い方はありましたが、とくに最近は床反力とのつながりで、骨盤を上下に動かす感覚として説明する人も増えています。確かにバックスイングでは右の股関節のところで、胴体と太モモの付け根のシワが深まって、「切り上げる」感覚になります。その際、右ヒザが伸びるので、右股関節(または右の骨盤)が上に動きます。左ヒザは曲がるので、左股関節(または左の骨盤)は下に動くわけです。ただし、骨盤が正面を向いたまま、ハンドルのように、その左右が上下に動いているわけではありません。骨盤が前傾した体勢で回転しているので、軸の左右にある左右の股関節が高さを変えているだけであり、当然の結果なのです。
しかし、骨盤がタテに動くというイメージを持つと、確かに、地面を踏んだ力をうまく回転につなげやすくなるようです。ゴルフスイングにおいて「股関節を有効に使う」ためには、アドレスでしっかり骨盤から前傾させておくことと、もうひとつ、バックスイングで右股関節に、ダウンスイングでは左股関節にしっかり体重を乗せることが大切になってきます。上下の運動というイメージを持つことで、骨盤が必要以上にヨコにズレることがなくなり、しっかり股関節に体重を乗せて体幹の動きをつくれるようになると考えられます。
●腰を切り上げるとは?
腰を切る、腰を切り上げるというのは、股関節で脚をねじる動きが関係している。しかし、腰は切らなくても切り上げなくてもいい。
出典:『ゴルフ当たる!飛ばせる!スウィング解剖図鑑 イラストでわかる身体とクラブの正確な使い方』著/奥嶋誠昭
【レッスンプロ情報】
●奥嶋誠昭
1980年生まれ。ツアープロコーチ。アマチュアゴルファーからツアープロまで最先端機器を使ったバイオメカニクス(動作のコツを解析する)をもとに、ゴルファーの要望に合ったスイングづくりに定評がある。JGTOツアープレーヤー。2020―2021年国内女子ツアー賞金王、東京五輪銀メダリストの稲見萌寧など、数多くのトッププロ選手の指導実績を持つ。
【書誌情報】
『ゴルフ 当たる! 飛ばせる!スウィング解剖図鑑 イラストでわかる身体とクラブの正確な使い方』
著者:奥嶋誠昭
スウィングづくりやスウィングレッスンをテーマとする多くのゴルフ書は、写真、動画などの映像を使ってスウィング時の身体の動きを解説する。
その見せ方では、手や足、身体の動きや動かし方は表現できても、例えば「インパクトを感じる手の感覚」「インパクト時の足の感覚」といった、スウィング時の身体が感じる感覚までは伝えづらい。そこで本書では、スウィングで体感する手や足の感覚をイラストでできる限り具体化し、読者にその感覚をつかんでもらい、スウィングづくりの向上を目指す。著者は、スウィングの解析システムを駆使し、プロ、アマ問わず多くのゴルファーのスウィングを分析している奥嶋誠昭プロ。同プロ独自のスウィング動作をイラストを通して解剖、図解化し、ゴルフスウィングの上達に役立てる。
公開日:2024.03.08