ヒザを含め、全身で上下の動きをつくる
【部位】ヒザ関節 【機能】脚の力を使う
しっかり体重を乗せ地面を踏むことが大切
ヒザ関節については、主に曲げ伸ばししかできない構造になっています。曲げた状態では、少しだけですがねじることもできます。以前は「ヒザの高さを変えないことでインパクトを安定させる」という考え方がありましたが、最近は変わってきています。ヒザの曲げ伸ばし、つまりしゃがんでジャンプする動きによって大きな力をつくれるので、うまく活用しましょうという考えです。実際、回転よりヨコの移動(体重移動)、そしてそれらよりも上下の動きのほうがエネルギーが大きくなるというデータもあります。
また、ヒザの曲げ伸ばしを使うと、腰の回転量を増やすことにもつながります。腰が回れば、肩はもっと回り、クラブの運動量も増えます。エネルギーを飛躍的に大きくすることができるのです。ヒザの角度についてのPGAツアーの平均データを見てみましょう。P1で左は18・0度、右が20・8度曲がっています。右が深く曲がっているということは、右腰のほうが低くなるということです。ドライバーのデータだからですが、上半身が右に傾く形は、ヒザの角度においてすでに現われているということです。P4では左35・6度、右28・6度。両ヒザともトップではアドレスのときよりも曲がっています。
これはトッププロたちが右ヒザを伸ばして右腰の回転を増やすことよりも、ダウンスイングへの移行しやすさを選んだ結果だと思います。P5で、左右ともさらに折れ曲がるというのは、股関節のときに説明したシッティングポジションをつくっていることを示しています。そしてP5から、P8に向かって伸びていきます。両ヒザを伸ばす動きで地面からの力を受け取って、腰の回転に変換し、インパクトに伝えていることがわかります。注意点をひとつ挙げておくと、ヒザの曲げ伸ばしで力は出せますが、誰にでも合う動きというわけではありませんから、合わない場合は無理をしなくていいと思います。
●上下の動きで大きな力を出す
ヒザの曲げ伸ばしでつくれる力は、回転運動や、いわゆる「体重移動」のために体のヨコ方向に動いてつくる力よりも大きい。
出典:『ゴルフ当たる!飛ばせる!スウィング解剖図鑑 イラストでわかる身体とクラブの正確な使い方』著/奥嶋誠昭
【レッスンプロ情報】
●奥嶋誠昭
1980年生まれ。ツアープロコーチ。アマチュアゴルファーからツアープロまで最先端機器を使ったバイオメカニクス(動作のコツを解析する)をもとに、ゴルファーの要望に合ったスイングづくりに定評がある。JGTOツアープレーヤー。2020―2021年国内女子ツアー賞金王、東京五輪銀メダリストの稲見萌寧など、数多くのトッププロ選手の指導実績を持つ。
【書誌情報】
『ゴルフ 当たる! 飛ばせる!スウィング解剖図鑑 イラストでわかる身体とクラブの正確な使い方』
著者:奥嶋誠昭
スウィングづくりやスウィングレッスンをテーマとする多くのゴルフ書は、写真、動画などの映像を使ってスウィング時の身体の動きを解説する。
その見せ方では、手や足、身体の動きや動かし方は表現できても、例えば「インパクトを感じる手の感覚」「インパクト時の足の感覚」といった、スウィング時の身体が感じる感覚までは伝えづらい。そこで本書では、スウィングで体感する手や足の感覚をイラストでできる限り具体化し、読者にその感覚をつかんでもらい、スウィングづくりの向上を目指す。著者は、スウィングの解析システムを駆使し、プロ、アマ問わず多くのゴルファーのスウィングを分析している奥嶋誠昭プロ。同プロ独自のスウィング動作をイラストを通して解剖、図解化し、ゴルフスウィングの上達に役立てる。
公開日:2024.03.12