期限や税金にも注意!財産分与・慰謝料の請求
原則は一括払い
財産分与や慰謝料の金額に合意したら、支払い方法を話し合います。多くの場合は金銭で支払いますが、不動産を譲るなど現物で支払うこともあります。
金銭で支払う場合は、一括払いと分割払いがあります。財産分与や慰謝料は 一 括払いが原則ですが、夫婦が合意すれば分割払いにもできます。分割払いにするときは、1回の支払い金額、支払い回数、支払い期日を決め、話し合いの内容は公正証書にしておくのが望ましいです。
請求期限に注意
財産分与と慰謝料は離婚が成立してから請求することもできますが、請求期限に注意。財産分与は離婚成立時から2年、慰謝料は3年を過ぎると請求できなくなります。
税金がかかる場合もある
財産分与も慰謝料も、金銭で支払うのであれば、原則として税金はかかりません。ただし、支払い金額があまりにも多い場合や、贈与税や相続税を免れるための偽装離婚とわかった場合は、受け取る側に贈与税がかかります。
有価証券や不動産など評価額が変動する財産は、購入時よりも離婚時の評価が高い場合、財産を渡す側に譲渡所得税がかかります。居住用不動産の場合は、 離婚成立後に渡すと特別控除を受けられます。
不動産は、受け取る側にも税金がかかる場合があります。名義変更時に登録免許税がかかるほか、固定資産税を毎年納める必要があります。ポイント
- 財産分与も慰謝料も、一括払いが原則。
- 一括払いができない場合は、はじめに少しでも多く受領し、回収漏れのリスクを回避する。
- 金銭で支払う場合は税金がかからないのが一般的。
支払い方法・請求期限・税金のまとめ
支払い方法
【メリット】
一括払い:まとまった現金を一度に受け取ることができる、支払いが滞るリスクを避けられる
分割払い:お金に余裕がなくても支払うことができる
現物払い:現金がなくても支払うことができる、家であれば住み続けることができる
【デメリット】
一括払い:相手にお金がないとできない
分割払い:支払いが滞るリスクがある
現物払い:査定額について揉めやすい、税金がかかる場合がある
離婚にまつわるお金の請求時期と請求期限
財産分与・慰謝料にかかる税金
【渡す側】
現金・預貯金:非課税
株式などの有価証券:譲渡所得税(購入時より高くなった場合)
不動産:譲渡所得税
居住用不動産の場合、離婚成立後の譲渡で特別控除が受けられる
【受け取る側】
現金・預貯金:原則、非課税
株式などの有価証券:非課税
不動産:登録免許税、固定資産税(毎年)
【森元先生からのアドバイス】
分割払いにすると、相手が失業したり逃げたりして支払われなくなるリスクが高くなります。相手の支払い能力にもよりますが、できるだけ一括払いにしてもらうようにしましょう。
【出典】『増補改訂版 前向き離婚の教科書』著:森元みのり
【書籍情報】
『増補改訂版 前向き離婚の教科書』
著:森元みのり
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公開日:2024.06.13