裁判離婚でよくある理由④結婚生活を続けていくことに支障のある「性格の不一致」による離婚
裁判で離婚するには
「性格の不一致」は最も多い離婚理由ですが、裁判では、が合わない」というだけで離婚できることはほとんどありません。裁判で離婚を認めてもらうには、5つの離婚理由のひとつである「その他婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき」に当てはまることが必要。つまり、性格の不一致の程度と、その他の事情を考慮して、夫婦関係が破たんしていることを証明しなければならないのです。
性格の不一致の程度が大きいことを証明する方法のひとつとして、別居している事実を示すことが挙げられます。長期間別居していてその間に関係修復の兆しがなければ、それだけで離婚理由として認定されるケースもあります。別居期間が長ければ長いほど離婚しやすくなりますが、結婚している期間が短ければ、1年程度の別居でも認められる場合があります。
不貞やDVに近い事情がある場合
別居はしておらず、同居をしている場合は、日々の生活の様子がわかる証拠を揃えましょう。さらに、結婚生活を続けていくことに支障のある理由があれば、それを併せて主張していきます。例えば、配偶者以外の人とキスをするなど不貞まではいかないが夫婦の信頼関係を損なうことがあった、子どものしつけが過剰で虐待に近い、ギャンブルや趣味への浪費がひどく家計が苦しい、家事・育児をまったくしないなどの事情が1つまたは複数あると、離婚が認められやすくなります。
ポイント
- 性格の不一致で離婚したいなら協議離婚がベスト。
- 裁判離婚の場合は、夫婦関係が破たんしていて修復が不可能であることを主張する。
裁判で「夫婦関係の破たん」を認めてもらうには
【長期間別居していることを示す】
●別居については、客観的に「別居するのはやむを得ない」と言える理由が必要
●別居期間が長期化し、その間に関係修復の兆しがないなど
【夫婦関係が破たんしている証拠を用意する】
●会話がなかった、寝食を別にしていたなど、事務的なやり取りを行っていたことを示すメールやメモ
●喧嘩の様子を収めた録音データ・動画
●日々の生活をつづった日記・メモ
●夫婦の現状を知る第三者の証言など
【婚姻を継続しがたい重大な事由があることを主張する】
●過去の不貞によるしこりがなくならず、喧嘩の種になっている
●配偶者以外の人に愛情を持っている、キスをした
●同性との関係などがある
● DV まではいかないものの、カッとなって手が出たことがあった
●子どもへのしつけが虐待に近い
●頻繁な転職や浪費によって家計が苦しい
●家事・育児をしない
●家事、育児、子どもの教育方針に偏りがあって一緒に生活するのがつらいなど
森元先生からのアドバイス
性格の不一致による離婚を認めてもらうには、相手とどうしても一緒にやっていけない理由を説得的に主張することも大切ですが、感情的に相手を非難したり、相手の人格をけなしたりしては逆効果です。こちらの対応はあくまでも誠実に、バランスを守るようにしましょう。
【出典】『増補改訂版 前向き離婚の教科書』著:森元みのり
【書籍情報】
『増補改訂版 前向き離婚の教科書』
著:森元みのり
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公開日:2024.07.03