テロリズムの目的は?【図解 犯罪心理学】
テロリズムの種類
テロリズムとは「一般大衆の恐怖心を引き起こすことによって、特定の政治的な目的を達成するための手段として定義される暴力行為」のことです。具体的な手段としては、爆破や銃乱射、大量殺人、要人暗殺、誘拐・脅迫、人質立てこもり、ハイジャックなどの形をとることが多く、個人的なストレスや不満の表出というよりは、なんらかの社会的大義が動機として存在しているのが特徴です。
テロの目的としては、大きく「政治テロリズム」と「宗教テロリズム」に分類できます。「政治テロリズム」は、政治思想を背景として行われるテロのことで、左翼集団によるテロと右翼集団によるテロのふたつの方向性があります。「宗教テロリズム」は宗教的な価値観の違いや民族間の対立などに起因して実行されるテロで、2001年の9・11アメリカ同時多発テロ事件のほか、1995年のオウム真理教による地下鉄サリン事件のような新興宗教によるテロも発生しています。
また、近年では政治体制や社会体制全体の変革を行おうとするのではなく、銃規制反対や中絶反対、反グローバリズム、環境保護といった、単一の論点に絞ったテロも増えています。その意味でも、より広範囲にわたる監視と対策が求められるようになっています。
出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 犯罪心理学』
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 犯罪心理学』
監修:越智啓太
監修者プロフィール
法政大学文学部心理学科教授。1965年、神奈川県横浜市生まれ。学習院大学大学院人文科学研究科心理学専攻修了。警視庁科学捜査研究所研究員、東京家政大学文学部助教授、法政大学文学部准教授を経て2008年より現職。臨床心理士。専門は犯罪捜査への心理学の応用。著書に『犯罪捜査の心理学』(化学同人)、『ケースで学ぶ犯罪心理学』(北大路書房)ほか多数。
昨今、様々な事件や特殊詐欺など凶悪な犯罪が増えており、ニュースで犯罪に関する情報を聞かない日はないといえます。誰もが利用するSNSを介した犯罪も当たり前になっており、より巧妙化しながら身近に潜む問題にもなっています。こうした問題や実態について研究し、犯罪予防や再犯防止に役立てようとするのが『犯罪心理学』です。
犯罪心理学は、心理学の中でも実際の現場や実践に役立つことを目的とした“応用心理学”の1つで、特に犯罪行動・非行や犯罪者の心理・行動パターンに焦点を当てた研究分野です。専門書や教科書が多いジャンルですが、本書では図やイラストを用いて、1トピックを見開き1ページでわかりやすく解説。
“普通の人”が犯罪に手を出してしまう経緯、犯行内容から見える犯人像や周囲の環境、巧妙化する手口や防犯法など、知らなかった犯罪心理学を、楽しみながらもしっかりと学べる一冊です。
公開日:2024.07.26