葬儀費用・医療費の給付を受ける
国民健康保険の葬祭費
故人が国民健康保険、または後期高齢者医療制度の被保険者だった場合、お葬式を行った人はその費用として「葬祭費」を受け取ることができます(自治体によって呼び名が異なる)。
支給される金額は市区町村によって差があり、2万~8万円程度です。必要書類を揃えて、市区町村の担当窓口に申請しましょう。
健康保険の埋葬料・埋葬費を受け取る
健康保険(全国健康保険協会、健康保険組合、共済組合など国民健康保険以外の医療制度)に故人が加入していた場合は、「埋葬料」として5万円が支給されます。同居家族などがいない場合には、「埋葬費」として実費(5万円が上限)が支給されます。
なお、業務上災害や通勤災害で死亡した場合は、労災保険(葬祭料)の取り扱いとなります。
葬儀費用の給付の申請
葬祭費や埋葬料は、申請しないと受け取れません。申請期間は死亡日の翌日から2年以内です。給付金は、申請日の2~3週間後に指定口座に振り込まれます。現金で支給する市区町村もあります。
葬祭費(国民健康保険)
故人が国民健康保険か後期高齢者医療制度の被保険者の場合、葬儀費用として葬祭費(埋葬費、葬祭の給付とも呼ぶ)を受け取ることができます。申請は市区町村役場の国民健康保険課または後期高齢者医療課。市区町村によって「埋葬費」「葬祭の給付」などと呼び名が異なり、給付される金額も異なります。
必要書類
- 葬祭費支給申請書
- 保険証
※喪主を確認するため、会葬礼状や葬儀社の領収証が必要な場合もある。
葬祭料・葬祭給付
業務上災害で死亡した場合は労災保険から「葬祭料」が、通勤災害で死亡した場合は「葬祭給付」が支払われます。申請先は労働基準監督署になります。
必要書類
- 葬祭料または葬祭給付請求書
- 死亡診断書
- 除籍の記載がある戸籍謄本など
埋葬料(健康保険)
葬儀を執り行った家族には、埋葬料として一律5万円が支給されます。勤務先の健康保険組合または勤務先を管轄する年金事務所に申請します。 生計維持関係にない人が葬儀を行った場合は、その人に5万円を上限とした実費が「埋葬費」として支払われます。埋葬料のほかに、付加給付金を支給する健康保険組合もあります。
必要書類
- 健康保険埋葬料(費)請求書
- 健康保険証
- 埋葬許可証または死亡診断書 (死亡届)のコピー
- 葬儀費用領収証 (埋葬費を申請する場合)
恩給受給者の葬儀費用
旧軍人・軍属であった人が、公務により負傷または疾病にかかって障害を持った場合、戦傷病者特別援護法に基づいて戦傷病者手帳が交付されます。亡くなった際に一定の条件を満たしていれば、戦傷病者遺族用の葬祭費を受け取ることができます。
自己負担限度額
国民健康保険、後期高齢者医療制度、健康保険の加入者である場合、1ヵ月の医療費の自己負担金が高額となり、一定額(自己負担限度額)を超えたときは「高額療養費」として、その超えた額の払い戻しを受けることができます。
該当者には、保険者から払い戻しの案内が届いたり、自動的に指定口座に高額療養費が振り込まれたりすることもありますが、加入者自身も医療費をチェックしましょう。
医療費の自己負担限度額は、治療を受けた人の年齢や所得によって異なります。同一世帯で1年間(直近12ヵ月)に3回以上 高額療養費の支給を受けている場合は、4回目からは下記の表にあるように自己負担限度額は減額され、定額となります。
なお、入院時の食事代、差額ベッド代など、保険適用外の費用は自己負担金に含まれません。
Tips
自己負担金は、月ごと、受診者ごと、病院ごと(医科・歯科別、外来・入院別)に計算します。それぞれの自己負担金が限度額に達しないときは、同一世帯で世帯合算ができます。合算方法については、役場や健康保険組合などに問い合わせるか、それぞれのホームページで確認するとよいでしょう。
高額医療費の払い戻し申請
高額療養費の申請は、毎回しなくてはいけない場合、初回のみで2回目以降は自動的に口座に振り込まれる場合、申請をしなくても口座に振り込まれる場合があります。
口座に振り込まれる場合は、かならず振り込みの確認をします。振り込まれない場合は、忘れずに申請をしましょう。
Tips
医療費が高額になることが事前にわかっている場合には、あらかじめ発行してもらった「限度額適用認定証」を提示すると、窓口での支払いが自己負担限度額までになります。
国民健康保険後期高齢者医療制度
高額療養費の該当者に、受診した2〜3ヵ月後に高額療養費の払い戻しの通知を出す場合が多いようです。通知を受け取ったら市区町村役場の窓口または郵送で申請を行います。2回目以降は、自動的に口座に振り込んでくれる自治体もあります。
必要書類
- 高額療養費支給申請書
- 保険証
- 医療機関発行の領収証
健康保険
病院から送られてくる診療報酬明細書をもとに計算し、自動的にお金が指定口座に振り込まれることが多いようです。必要があれば、勤務先の健康保険組合または年金事務所に申請します。申請期限は診療月の翌月1日から2年。組合によっては、付加給付金が支給されることもあります。
必要書類
- 高額療養費支給申請書
- 保険証
- 医療機関発行の領収証
【出典】『増補改訂版 身内が亡くなった時の手続きハンドブック』著:奥田 周年
【書籍情報】
『増補改訂版 身内が亡くなった時の手続きハンドブック』
著:奥田 周年
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公開日:2024.09.29