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プロ並みの飛距離を持つアマチュアはなぜ曲がってしまうのか!?【「圧力系」インパクトの作り方/阿河徹】

Text:阿河徹

アマチュアゴルファーに適したスイングが上達の近道

たまにめちゃくちゃボールを飛ばすアマチュアゴルファーがいますよね。もちろん当たれば、なのですが…。とにかくプロゴルファー並みの飛距離を持つゴルファーは少なからずいるものです。でも飛ぶから必ずしも上手かというとそうでもなく、100を切れなかったりすることが多かったりします。「飛ぶけど曲がる」というよくあるパターンではあるのですが、こういう人たちのボールはなぜ曲がってしまうのでしょうか?

そこには「当たり方」が大きく関係していて、とにかく飛べばいい、という考えのもとからインパクトに最大加速ポイントを持ってきてしまうことが、大きな要因であることが多いと思います。ツアープロのスイングはフォロースルーでクラブが最大速度になりますが、そのポイントを前に持ってきてインパクトで最大加速を迎えるようにすると、ジャストミートできたときには飛びますが曲がる可能性は高くなります。

なぜかというと、スピードが最大になるときはフェースターンのスピードも速いので、フェースの向きが不安定だからです。一方、最大加速の前の段階ではフェースターンが緩やかなので、フェースコントロールはしやすいのです。ドラコン競技であれば、インパクト=最大加速ポイントであることにメリットが出てきますが、スコアを争うのであれば、フェース面が管理できないことは大きなデメリットになってしまいます。そのためツアープロは最大加速ポイントを迎える前にインパクトを作るのです。ですのでスコアメークしたい場合はこのシステムをまねるべきですが、フェースターンし切る前に当てるわけですから、どうしてもフェースが開いて当たりがちです。

●アマチュアゴルファーのスイング
「飛ぶけど曲がる」アマチュアゴルファーは最高加速ポイントでボールをとらえる。


●プロゴルファーのスイング
「飛んで曲がらない」プロゴルファーは最高加速ポイントの前でボールをとらえる。


そこでフェースを閉じる動作を入れる必要が出てくるのですが、それはたとえばストロンググリップで握るとか、アドレスの時点でフェースをかぶせることだったりしますし、切り返しで左手の甲を張ってシャットフェースを作ることでもこの問題は解決できます。

またドライバーであればロフトが寝ているクラブやクローズフェースのドライバーを使うことで、つかまりを良くするなどいくつか対処法があるのですが、バックスイングでシャットフェースにすると右肩が詰まってしまうので、あまりおススメはできません。スイング中にフェースを閉じる動きを入れる場合は、バックスイングではなくダウンスイングで入れるようにしましょう。

話が横道にそれましたが、何が言いたいのかというと、飛距離至上主義になってしまうと良いスコアで回ることは難しいということです。スイングのメカニズムにしても、肩と両腕の三角形を崩さないようにバックスイングをするような方向に持っていくと、身体のポテンシャルが伴わず空中分解してしまうことになりかねません。確かにツアープロはそのようにバックスイングを上げますが、それはふだんからトレーニングをして鍛えているから可能なわけで、お年寄りや肩甲骨の硬い人がそれをやると体幹が耐え切れずに、スエーしたりバランスを崩すことになるのです。

そういう全盛期のタイガー・ウッズのようなスイングがアマチュアゴルファーのみなさんに必要かというと、もちろんそんなことはありません。プレーするコースが全長で6500ヤードに満たないぐらいなら、ドライバーで230ヤード飛ばし、7番アイアンで150ヤード打てれば十分スコアになるのです。それぐらいの飛距離なら、バックスイングの初期にコッキングを入れて、コンパクトなトップから打てば十分出すことができます。無理に大きなバックスイングをとるより遥かにミスが出にくいので、スコアメークするという目的のためには断然こちらが有利です。

結局、アマチュアゴルファーには、アマチュアゴルファーに適したスイングがあるということで、それを目指すことが上達への近道と言っていいでしょう。とは言っても決して「いかにもアマチュア」的なカッコ悪いスイングではなく、見栄えが悪くなく、過度な身体能力を必要としないスイングのことです。このスイングの習得に目標を設定し努力すれば、つねにフェアウェイの真ん中を歩き、とりあえずグリーンには乗せられるようなゴルフができるようになります。

【書誌情報】
『70台は楽に出る!「圧力系」インパクトの作り方』
著者:阿河徹

ボールがクラブフェースにきちんと当たる確率を高め、飛距離が十分出る― そんなスイングを実現するため著者ススメているのが「圧力系インパクト」。小さなバックスイングで強いインパクトを実現する。本書では、このインパクトの作り方を写真を数多く用いて解説。70台のスコアも可能にする、ゴルファー待望の一冊だ。

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