新体操 競技別解説
すぐに動く準備となる着地姿勢を魅せる
新体操でもっとも誤解を招きやすいのが、「背骨を反らせて胸を張って美しく立つ」「つま先だって立つ」といったワードです。これを言葉通り受け止めるのは大きな間違いで、「背筋をピンとしてつま先立つ」のは、もっとも新体操がやりづらい姿勢だと言えます。ではどんな立ち方が良いのかと言えば、「跳んだあとの着地姿勢」です。フローを見せる新体操では、ひとつの動作の終わりが次の動きの予備動作になっているため、着地姿勢でいることは、すぐに動く準備ができているということになります。
また、手足がいたずらに動くことは減点対象になり、実際は動いていたとしても、動いていないように見せる必要があります。さらに「手足は手具を美しく見せるための伝達物である」というのも大切な要素です。手具と身体のフローを、音楽の流れに合わせて美しく見せるのがこの競技の醍醐味ですから、フローを途絶えさせないことも重要です。特に団体では、手具が動いていないときは選手の動作タイミングを、手具が動いているときは手具の軌道(動)タイミングを合わせることが重要。
競技の起源
20世紀初頭にドイツとスウェーデンを中心に誕生した新体操は、1948年に初めての競技会が旧ソ連で開催された。しばらくは体操競技の陰に隠れ、注目されなかったが、芸術的な側面が東ヨーロッパで高く評価されると、1962年に国際体操連盟は、新体操を独立したスポーツ競技として認定した。
手足が動いていないように見せる、キャッチする前後の動き
離れ技といった大技の前に、基本となる鉄棒上での倒立を完璧に体得してほしい。
【A】肩・股関節で腕が動かないように見せる
体幹の肩や肩甲骨、股関節のコントロールで、腕が動いていないように見せる。
【B】みぞおちで腕が動かないように見せる
みぞおちと体幹を柔軟に可動させることで、腕が曲がっていないように見せる。
脚足の美ライン、コントロールライン
クロスタイプは、足裏と脚の内側の側面をコントロールする意識を持って演じると脚足がより美しく見えます。逆に、パラレルタイプは、足の甲、脚の外側の側面をコントロールする意識を持って演じると脚足がより美しく見えます。
【書誌情報】
『廣戸聡一 ブレインノート 脳と骨格で解く人体理論大全』
著者:廣戸聡一
「本来の自分の身体の動きと理屈を知り、身体だけでなく精神的な部分との兼ね合いの中で、“いかにして昨日の自分を超えるか”という壮大なテーマを、人体理論の大家であり、日本スポーツ・武道界の救世主と呼ぶに相応しい、廣戸聡一が、自身の経験と頭脳のすべてを注ぎ込んで著す最強最高の身体理論バイブル。四半世紀でのべ500,000人の臨床施術により、多くのトップアスリート、チーム、指導者、ドクターとの関わりの中で行き着いたトレーニング&コンディショニング理論の集大成、ここに完成。オリンピック競技を含む全52種目を個別にも論及、紐解いた、すべてのアスリート、指導者、スポーツファン必携の書!
公開日:2021.06.25