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スポーツ選手それぞれの目標達成へ導く「レッシュ・サイクル」とは!?【廣戸聡一ブレインノート】

Text:廣戸聡一

身体の変化やライフスタイルに合わせたコンディショニング

●「レッシュ・サイクル」で、身体の変化を認識する
本来、コンディショニングとは、個人個人の状態によってすべて違うものです。また、同じ人でも、そのときの状態や目標によって、トレーニングやコンディショニングの内容はまったく変わってきます。「どのような人が、どのようなときに、どうするべきなのか?」。それぞれの肉体と精神を、それぞれの状態に合わせて、それぞれの目標達成へと導くために、私は「レッシュ・サイクル」という考え方を提唱しています。

多くのスポーツ選手は「Hゾーン」に属しています。たとえば野球の投手の場合、登板前は「Hゾーン」にいるものの、試合中に「Mゾーン」に向かい、試合後は疲労して「Lゾーン」の状態にある、といったように、1日の中でもそのサイクルは変わっていきます。


●ライフスタイルに合わせたコンディショニング
これは「アスリートの一生」という大きな流れにも当てはまります。パワーリフティングで世界の頂点を極めたレジェンド、三土手大介氏は、選手時代、400kgもの重さを支える筋量と身体の構造を保持していました。しかし、筋量の多さが邪魔をして長座姿勢がとれませんでした。そのため、引退後、指導の現場で長座が必要になるときは、台の上に座ったり、代役を立てたりしてレッスンをしていました。指導者として活動する彼にとって、選手時代の肉体の能力は今はフィットしない、もっと言えば不要なものでもあるのです。そこで、彼が身体に変化を求め、「体重を落としたい」と言ったタイミングを機に、選手時代に身体を酷使することで生じていたひずみを元に戻し、長い間固着していた場所を可動させるようにしました。

すると、1カ月ほどで長座ができるようになったのです。一見健康そうに見えるスポーツ選手でも、どこかに故障やひずみを抱えていることが多いもの。それが行きすぎると「Lゾーン」に入って、そのまま「引退」へとつながり、引退後は競技をしないことで持ち直して「LMゾーン」に属する人が多くなります。しかし、晩年は弱い部分がさらに悪化するという元スポーツ選手が多いのが現実です。選手時代はもちろんですが、長い人生を考えると、引退後の健康をどう維持するかはとても重要なことです。

「健康診断や体力測定でこの数値が出たから健康」というのは、「この数値が出たから優れたスポーツマンだ」というのと同じで、本質を捉えていません。どのような方法をとるかは人それぞれですが、「Mゾーン」を維持して健康で過ごすこと、ひいては長生きすることを考えると、「人間の身体の条件は移ろう」という認識を持つことが大切です。そして、その時々に合ったコンディショニングを行いましょう。

【書誌情報】
『廣戸聡一 ブレインノート 脳と骨格で解く人体理論大全』
著者:廣戸聡一

「本来の自分の身体の動きと理屈を知り、身体だけでなく精神的な部分との兼ね合いの中で、“いかにして昨日の自分を超えるか”という壮大なテーマを、人体理論の大家であり、日本スポーツ・武道界の救世主と呼ぶに相応しい、廣戸聡一が、自身の経験と頭脳のすべてを注ぎ込んで著す最強最高の身体理論バイブル。四半世紀でのべ500,000人の臨床施術により、多くのトップアスリート、チーム、指導者、ドクターとの関わりの中で行き着いたトレーニング&コンディショニング理論の集大成、ここに完成。オリンピック競技を含む全52種目を個別にも論及、紐解いた、すべてのアスリート、指導者、スポーツファン必携の書!

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