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母性遺伝のミトコンドリアDNAとは!?【病理学の話】

Text:志賀貢

女系の祖先はミトコンドリア・イヴ?

ミトコンドリアは、細胞の核以外に存在する唯一のDNAという特殊な機能を持っています。

このDNAを「ミトコンドリアDNA(mtDNA)」といい、核DNAに比べ数が多く数百から数千個あり、らせん構造ではなく環状になっています。

ミトコンドリアが人が生きるためのエネルギー源となるATPという物質をつくる働きをしていることは前述しました。

通常の遺伝子は父母両方の性質を受け継いでいるのに対して、ミトコンドリアDNAは母親からの性質(X染色体)だけしか伝えません。この遺伝は「母性遺伝」と呼ばれています。

そこで、現人類の母系祖先を遡っていったとき、約20万年前にアフリカに共通するひとりの共通女系祖先「ミトコンドリア・イヴ」にたどりついたという衝撃的な説が発表されました。

しかし、同時代にはほかにも多くの女性が存在しており、たまたま現代人はイヴの遺伝子を受け継いでいただけで人類がその女性だけから始まったわけではありません。

一方、ミトコンドリアDNAは父性をたどることができないので、人類の系統をたどるのに学問的に不十分で、父系の系統をたどれるY染色体でも同様な研究が行われ、約8万年前に存在した「Y染色体アダム」と呼ばれる共通の男性にたどりつきました。

このY染色体はヒトゲノムの中で一番奇妙な染色体で、今までは、性別を男に決定する以外は、遺伝子的にガラクタの存在のようだと考えられてきましたが、精子をつくりだす際に大事な役割をはたすなど、真のY染色体の姿も徐々にわかり始めてきました。

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 病理学の話』
著:志賀 貢

シリーズ累計発行部数150万部突破の人気シリーズより、「病理学」について切りこんだした一冊。病理学とは「病(気の)理(ことわり)」の字のごとく、「人間の病気のしくみ」です。コロナウイルスが蔓延する中で、人はどのようにして病気になるのかが、改めて注目されています。細胞や血液、代謝や炎症、腫瘍、がん、遺伝子などと、人体のしくみ・器官、食事を含む生活、加齢などさまさまな環境との関連から、「病気」を解明するもの。専門書が多いなか、病気とその原因をわかりやすく図解した、身近な知識となる1冊です。

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