SPORTS LAB
- スポーツを通じて美しくそして健康に -

肺と筋肉の連携によって全身の細胞に酸素が行き渡る!

Text:加藤雅俊

肺で酸素を受け取った血液は、心臓のポンプ機能によって全身に送り出され、細胞に酸素を運び、二酸化炭素や老廃物を回収して肺に戻ります。このように、血液がスムーズに全身を循環していることは、肥満を解消し、健康を維持する上でとて も重要です。ただし、心臓のポンプ機能も万能ではありません。体のなかでも手先や足先など、末端は冷えやすいと思いますが、それは、心臓から遠い場所だからです。心臓から遠いほど、ポンプの力も及びにくいというのは、何となく想像がつくでしょうか。心臓のポンプ機能だけでまかなえる範囲は、せいぜい胴体の部分までと考えてください。

私たちは重力のある世界に生きています。普段あまり意識することはないかもしれませんが、人間はただ立っているだけでも、いろいろな筋肉を使っています。重力は下へ下へと力が働きますから、そのなかで小さな心臓だけで血液を循環させる というのは、なかなか大変なことなのです。では、どうやって全身に血液を送っているのでしょうか。

全身のメインポンプは筋肉

特に下半身の静脈は、重力に逆らって血液を押し上げ、心臓へと戻さなければなりません。「長時間立ち仕事をすると足がむくみやすい」という人がいますが、これは、血液の流れが重力のせいで滞り、下半身で停滞しているからです。このような状態では、スムーズに酸素を循環させることはできません。そんなとき、下半身の血流アップに力を発揮してくれるのが、「第二の心臓」とも言われるふくらはぎの筋肉です。歩いたり、走ったりしてふくらはぎを動かすと、筋肉がポンプのように何度も収縮し、足の静脈の血液を押し上げてくれます。下半身がむくみやすい人は、歩いていないか、ふくらはぎのポンプ機能が弱いのです。

特に女性の場合、男性に比べて筋肉量が少なく、ポンプの力が弱いので、むくみに悩んでいるのが女性に多いのもうなずけます。ふくらはぎだけでなく、全身の筋肉がポンプの役割をしっかり果たしていれば、心臓から遠い場所でも冷えやむくみはなくなります。また、血圧が高い人は試しに、横になっているときの血圧と、立ち上がったときの血圧を測ってみてください。立ったときに血圧が上がるはずです。寝ているときは重力の影響を受けないので、血液は普通に流れていますが、立って重力が発生したときに、筋肉が硬くなり血液が流れにくくなります。だから血管に負担がかかり、血圧が上がるのです。これが、朝に血圧が高くなるしくみです。一日中、全身に血液を循環させるには、体の各所で血液を押し流してくれる筋肉や、血液の通り道となる血管の状態がとても重要です。血管も筋肉でできていますから、筋肉をしなやかにすれば血管もしなやかになり、酸素も栄養も全身に行き渡ります。

心臓と同じくらい、筋肉が重要な役割を果たしているということをわかっていただけましたか? 体全体から考えるとむしろ心臓より、筋肉が血液を流すメインポンプといってもいいくらいです。

今ある筋肉の質を高めていこう

筋肉のポンプ機能を高めるには、体の深部にある深層筋を鍛えるのが有効です。何もムキムキの筋肉をつける必要はありません。もともと備わっている筋肉をきちんと使い、質を高めていけば、全身のポンプが活性化します。そのためには、本書 で紹介する肺活メソッドに加え、日頃から「すき間時間」を利用して、体の末端を積極的に動かしてください。手や足の指をグーパー、グーパーしたり、手首、足首を回す、などです。ちょっとした動きでも続けていると、体はきちんと応えてくれて、必要なところに血液が流れていきます。

【書誌情報】
『肥満がいやなら 肺を鍛えなさい』
著:加藤雅俊 (薬剤師、体内環境師、薬学予防医療家)

肺の主な役割は「呼吸」と「血液循環」。酸素を含んだ血液を体内に循環させているが、十分に機能しないと不調を招く。 本書では、肺を鍛える方法として「肺ストレッチ」を提案。肺と血液の関係を説明しながら、その方法を紹介する。