普段の練習と違って、コースでのスタート前の練習となると緊張感が高まることでしょう。スタート前の練習はやらないよりはやったほうがいいのはもちろんですが、スタート前の練習はあくまでもウォーミングアップが目的です。
自分なりにチェックしておきたいポイントがあるからといって、何かをつかもうとかスイングを修正しようなんて、練習場での1コインのわずか20~30球程度では無理です。「今日はいい感じだ」と喜んだところでコースに出たら何の保障もありませんし、そこで全然当たらなくても落ち込むことはありません。
昔、米ツアーのトーナメントに観戦に出かけたときのことです。私の友人が全英オープンで優勝したこともあるマーク・カルカベキアの大ファンで、スタート前の練習から見ていました。練習場でのカルカベキアはいきなりシャンクから始まり、次はトップ、さらにダフリや大スライスなどのミスも連発させてしまう有り様でした。友人は「こんな調子で大丈夫かな?」と心配していましたが、その日のカルカベキアは64というスコアをマークしてトップに立ったのです。
最初の30球はスタート前と同じ手順で打つ
結局カルカベキアの練習は、体を温めていただけなのです。体を温めている段階でいい球を打っても仕方がないわけです。自分の無理のない範囲内で球を打つだけで十分。それがスタート前の本来の練習のあり方だと思いますし、練習で不安を抱えたり期待を持たせたりするのは、実はそんなに意味を持たないことなのです。
もし、あなたがスタート前の練習でどうしても「いい感じ」をつかんでおきたいというなら、普段の練習でもコースでやるスタート前の練習を想定しながら打つようにしましょう。普段の練習では100球くらい打つでしょうから、コースでの練習は1コイン分の30球と考えて、最初の30球はスタート前の練習で使用するクラブだけを使います。素振りを繰り返して体を温めてから、ウェッジから打ち始めて、7番アイアン、5番ウッド、ドライバーという順に長いクラブに持ち替えるパターンが多いことと思いますが、自分のスタイルで構いません。
あるいは普段の練習で、コースプレーを想定し、ドライバー、5番ウッド、7番アイアン、アプローチウェッジを使って、30球だけで順繰り練習するのもいいと思います。ただし調子がよくないからといってスイングをいじったり、球数を増やしたりしないことです。
【書誌情報】
『週1回30球で上手くなる!大人のゴルフ練習帳』
著者:/中井学
20年間に渡り多くのアマチュアゴルファーを指導してきた著者の中井学プロ。彼らから聞く声で一番多いのが「一生懸命練習しているのに、なかなかスコアアップできない」という言葉。上達するには練習は欠かせませんが、その成果が表れないのはもったいない練習をしていて、もう少し練習を工夫すれば、もっと早く上手くなれる」とプロは言います。要は練習の無駄を省けば効率が上がり、それだけ上達のスピードも上がるわけです。この本では、「週1回、それも30球程度」で身に付けられる練習の仕方を写真を交えて紹介しています。「ドライバーと9番アイアンによるスイングづくり」「練習場でつかめる的確なボール位置」「上下左右に球を打ち分ける」など、スコアアップに結びつく効率的な練習法が載っています。本書で「練習をスコアに変える」方法を身に付けましょう。
公開日:2021.01.10