人間の脳はいくつになっても成長できる
子どもの成長は見ていて楽しいものです。ぎこちない動きに、ほほえましさを感じさせます。
そして、成長するにつれ、ぎこちなかった動きも、大脳皮質の運動野や運動前野、小脳などの運動関係のネットワークの学習によって、だんだんと洗練されていきます。脳内では、神経細胞の結合のドラマチックな変化が起こっているわけです。
子どものぎこちなさに魅力を感じるのは、そこにたゆまず学習を続ける生命の不思議さや、したたかさを見るからかもしれません。同じように、大人が見せるぎこちなさも魅力的です。
人間は、一生学び続ける存在です。どんなにみっともなくても、新しいことに挑戦し続けなければ、せっかくの脳の学習能力を生かすことはできません。
人間の脳は、いくつになっても成長できる可能性を秘めているのですから。
幼い子どもに限らず、いい大人が新しいことに挑戦している姿も、見ていて楽しいものです。ましてや、おじいちゃん、おばあちゃんが、ぎこちなくてもチャレンジを続けている姿は、うっとりするほど美しいと私は感じます。
また、これは社会のありようにもいえます。たとえば、インターネットが誕生したころ、多くの人は、「使い物にならない道具」くらいにしか思っていませんでした。しかし、そんなぎこちなさを経て成熟し、いまでは社会に不可欠のインフラとなったことは、万人の認めるところです。
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 脳の話』
著:茂木健一郎
シリーズ累計発行部数150万部突破の人気シリーズより、「脳」について切りこんだした一冊。「なぜ、脳から意識が生まれるの?」「ひと目ぼれは、どうして起きる?」「頭がいいって、どういう人?」人の脳は不思議でいっぱい。身近な疑問でナゾを解明! いまだに解明されない現代科学最大の謎といわれる脳。脳を知ることは、自分自身を知ることです。テレビや雑誌など、さまざまなメディアで活躍する脳科学者の著者が、脳の働きや仕組みを最新のトピックスや知識を使い、図解を交えてわかりやすく解説します。脳力を最大限に発揮させる方法から、「ひらめき回路」の鍛え方、、AI時代の脳の活かし方、脳の機能まで、疑問形式で楽しく読める脳の話が満載。仕事や学習、恋愛、人付き合いなど日常の生活でも役に立つ、脳のエンターテインメント教養本です。脳は自分を映す鏡。人工知能時代に負けない、ヒトの脳の大きな可能性がわかります。
公開日:2020.09.22