領域ごとに異なる機能を担っている大脳皮質
大脳は左右の半球に分かれています。左半球は左脳、右半球は右脳と呼びます。右脳と左脳は、ほぼ同じ大きさ・形をしていますが、左右対称に各部位が配置されているというわけではなく、機能に違いがあります。
余談ですが、左脳と右脳に機能の違いがあることから、人を「左脳派」「右脳派」に分ける診断がありますが、脳科学的にはこれは意味がありません。右脳と左脳は約2億本の軸索の束である脳梁でつながっており、お互いに情報交換しながら働くので、どちらか一方の脳しか働いていないということはあり得えないからです。
左右の半球は脳溝と呼ばれる深い折れ目を境に4つの葉に分かれます。大脳の表面は、厚さ3ミリほどの大脳皮質という神経細胞が凝集した組織で覆われていて、これが私たちの知的活動を支えている中枢になります。
大脳皮質の容積の3分の1を占めるのが、前頭葉です。前頭葉は神経回路全体の指揮者といえる部位で、思考や判断など高度な知的活動を司っています。前章で触れた、集中する回路やひらめきの指示を与えるのも前頭葉です。
頭頂葉には、痛みや温度などの皮膚感覚(体性感覚)を司る体性感覚野があり、側頭葉には聴覚野が、後頭葉には視覚野があります。
このほかに大脳の中央部には感情システムを調節する大脳辺縁系や、小脳とともに働いて体の動きを調節する大脳基底核などがあります。このように、さまざまの部分が役割分担をしながらも協調して働くのが大脳の特徴です。
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 脳の話』
著:茂木健一郎
シリーズ累計発行部数150万部突破の人気シリーズより、「脳」について切りこんだした一冊。「なぜ、脳から意識が生まれるの?」「ひと目ぼれは、どうして起きる?」「頭がいいって、どういう人?」人の脳は不思議でいっぱい。身近な疑問でナゾを解明! いまだに解明されない現代科学最大の謎といわれる脳。脳を知ることは、自分自身を知ることです。テレビや雑誌など、さまざまなメディアで活躍する脳科学者の著者が、脳の働きや仕組みを最新のトピックスや知識を使い、図解を交えてわかりやすく解説します。脳力を最大限に発揮させる方法から、「ひらめき回路」の鍛え方、、AI時代の脳の活かし方、脳の機能まで、疑問形式で楽しく読める脳の話が満載。仕事や学習、恋愛、人付き合いなど日常の生活でも役に立つ、脳のエンターテインメント教養本です。脳は自分を映す鏡。人工知能時代に負けない、ヒトの脳の大きな可能性がわかります。
公開日:2020.12.17