彗星は太陽系の小天体、流れ星は宇宙のちり
彗星と流れ星は同じようなものだと思われがちですが、実際はまったく違うものです。流れ星は小惑星や彗星から出た宇宙のちりで、直径数ミリメートルの小さな物体です。地球に届き、大気圏に突入するとき、その摩擦で物質の状態が変化し、光って見えます。大気圏で起こる現象のため、高度100キロメートル付近で光りはじめ、多くは70キロメートル付近で燃え尽きて、光って見えるのはほんの一瞬です。
彗星はそのおよそ8割が氷で、二酸化炭素、一酸化炭素、そのほかのガス、そして微量のちりでできた、数キロメートルから数十キロメートルのとても小さな天体です。彗星が太陽に近づくことで、氷が溶け、放出されたガスや微粒子が太陽に反射して光り、輝きを増します。
彗星のガスの尾は、太陽風に飛ばされてできるため、進行方向と関係なく、太陽と反対の方向にのびています。同じように尾があっても流れ星の尾が、進行方向の後ろにあるのとは異なります。では、小惑星と彗星の違いはどうでしょうか。小天体のなかで、ガスなどを放出しているのが彗星、なにも放出していないものが小惑星と分類されます。
また、小惑星の軌道が惑星と同様、円に近い楕円なのに対し、彗星の軌道は細長い楕円のものが多く、放物線や双曲線軌道を描くものもあります。彗星には、周期的に太陽に近づき、いつごろ地球に近づくか予測・観測しやすい「周期彗星」と、一度近づいたらもう戻ってこない「非周期彗星」があります。肉眼で確実に見ることができる周期彗星はハレー彗星。次に見られるのは2061年の夏ごろです。
出典:『眠れなくなるほど面白い 図解プレミアム 宇宙の話』
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解プレミアム 宇宙の話』
監修:渡部潤一
「地球はどうやってできたの? 宇宙のどこにあるの? 」「太陽が巨大化するってホント?」「月のクレーターや『月の海』って?」「 宇宙はどんな構造?いくつもあるの? 」など素朴なギモンに即答で宇宙のナゾに迫る! ——地球の生い立ちから、お隣の天体・月の謎、太陽と惑星の素顔、恒星と銀河、宇宙論まで、最新の天文学、宇宙物理学、惑星科学に踏まえてやさしく解説。豊富なイラスト、61テーマと興味深い宇宙・星座コラムで、夢とロマンに満ちた、いちばん新しい宇宙の姿がよくわかります。太陽系のナゾから最新の宇宙理論まで、宇宙のフシギをズバリ解明します!
公開日:2024.05.11