太陽系の端っこからやって来る
彗星の軌道が惑星とは異なることを説明しましたが、彗星はどこからやって来るのでしょうか。多くの彗星のスタート地点は、太陽系外縁、海王星軌道の外側にあるエッジワース・カイパーベルトと、太陽系最外縁で太陽から1億光年離れたところにある「オールトの雲」だと考えられています。
周期彗星は速いものなら3・3年で太陽を1周し、長いものでは数百年をかけて回ります。周期が200年未満のものは短期周期彗星と呼ばれますが、これはエッジワース・カイパーベルトのエリアから、周期が200年以上の長周期彗星はオールトの雲のエリアから、やって来ると考えられています。
エッジワース・カイパーベルトやオールトの雲のエリアには、氷を主成分とする小さな天体がたくさん存在していて、それらが彗星のもととなるのです。オールトの雲には約1兆個もの彗星のもとがあると考えられています。
それぞれの場所にある氷小天体の一部が惑星の引力によってなど、なんらかの原因によって、軌道を変えて太陽系の内側に入り、太陽に近づいて「コマ」(彗星の頭部を取り巻く星雲状のガスやダストの領域)や「尾」をもつ彗星となるのです。太陽から遠く離れた場所をふるさととする彗星は、太陽系の惑星が氷微惑星からできたころと同じような情報を彗星のなかにそのままとじ込めて、太陽系の内側にやってきます。なんだかロマンを感じますね。
出典:『眠れなくなるほど面白い 図解プレミアム 宇宙の話』
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解プレミアム 宇宙の話』
監修:渡部潤一
「地球はどうやってできたの? 宇宙のどこにあるの? 」「太陽が巨大化するってホント?」「月のクレーターや『月の海』って?」「 宇宙はどんな構造?いくつもあるの? 」など素朴なギモンに即答で宇宙のナゾに迫る! ——地球の生い立ちから、お隣の天体・月の謎、太陽と惑星の素顔、恒星と銀河、宇宙論まで、最新の天文学、宇宙物理学、惑星科学に踏まえてやさしく解説。豊富なイラスト、61テーマと興味深い宇宙・星座コラムで、夢とロマンに満ちた、いちばん新しい宇宙の姿がよくわかります。太陽系のナゾから最新の宇宙理論まで、宇宙のフシギをズバリ解明します!
公開日:2024.05.12