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子どもが抱えやすい心の問題!自閉スペクトラム症の子供にどう向きあうべきなのか?【臨床心理学】

Text:湯汲英史

個人に合わせた介入法を考える

自閉スペクトラム症を根本的に治療する方法は残念ながら確立されていません。しかし、療育や環境調整などの支援によって、苦手なことへの対処方法を身につけることができ、症状の緩和や負担の軽減が期待できます。支援法のひとつである「TEACCHプログラム」は世界的に普及しています。同プログラムは、自閉スペクトラム症当事者の考え方・世界を理解し、その特性に合わせた包括的支援を行うことで自立と共存を目指します。

また、親の関わり方も重要なため、ペアレント・トレーニング(PT)の一種である「PCIT(親子相互交流療法)」という支援法もあります。親子の交流を別室からカウンセラーが観察し、状況に応じて親に適切な接し方を指示します。交流方法を改善させることで、癇癪や攻撃的行為などが見られる場合に有効と考えられています。

ほかにも、当事者の行動を環境と個人の相互作用から理解し、環境の変化によって行動変容を目指す「ABA(応用行動分析)」、対人関係を円滑にするためのスキルを身につける「SST(ソーシャルスキルトレーニング)」、自分の心の状態を気づかせて他者の言動を理解する力を養う「メンタライゼーション」など、年齢や重症度、目立つ特性に応じてさまざまな介入方法があります。

ただし、自閉スペクトラム症の特性のみに捕われないように注意しましょう。なぜなら併存症が多いため、注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害や限局性学習症/限局性学習障害などの特性を持っていることもあるからです。診断名に固執せず、一人ひとりにしっかりと向き合い、何に困っているのか、何が苦手なのかを見極め、その人に合った適切なサポートを考えることが大切です。

自閉スペクトラム症との関わり方・支援【眠れなくなるほど面白い 図解 臨床心理学】

出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 臨床心理学』監修/湯汲英史

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 臨床心理学』
監修:湯汲英史

ADHDや学習障害、統合失調症やパニック障害などの言葉を耳にする機会はありますが、なんとなく心やメンタルの不調・病気と捉えてしまいがちな臨床心理学の分野。しかし紐解いていくと実はそれぞれの症状には特性や原因があり、子どもが抱えやすいのものから大人が抱えやすいものまで様々です。また、ストレスが原因で自分では気づかないうちに発症してしまうものも。本書ではそんな一見理解し難い「心の問題」の特性や症状を図解でわかりやすく解説します。最も大切なことはしっかりと特性を理解して自分と、そして他人と向き合うことです。「自分は他人がふつうにできることができない」「職場のあの人はどうも変に感じる」「子どもがじっとしていてくれない」こうした日常のもやっとした感情も、臨床心理学を知ることで理解が深まります。また、実際に現場で心の病気を抱えた人と向き合う公認心理士師の仕事についても紹介します。臨床心理学を通して「心の問題」について知ることで、自分や他人の特性がわかり、周囲と上手に付き合っていく方法を知ることができる一冊です。

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