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集団生活が苦手で孤立しやすい「ADHD」の子供にどう接するのがいいのか?【臨床心理学】

Text:湯汲英史

肯定的に受け入れる環境が大事

じっとしていられない、一方的に話してしまうなど集団行動が苦手な特性が目立つため、注意欠如・多動症は子どもの頃から褒められる機会よりも叱られる機会が多いです。この結果、自己評価が低くなりやすく、成長するにつれて意図的に人間関係を避けるようになってしまいます。注意欠如・多動症の特性は周囲の影響で変化しやすいという特徴があり、肯定的に受け入れてもらえる状況では、特性が目立たなくなることが確認されています。

このため、周囲が注意欠如・多動症を理解し、適切な対応・支援とともに彼らを受け入れる環境を整えることが大切です。注意欠如・多動症の治療は、環境への介入、行動への介入などを組み合わせて行います。環境への介入では、自室や教室の装飾・掲示物を減らし、余計な刺激を減らすことによって集中を乱さないようにする物理的介入や、勉強時間を10~15分などの最小単位に区切る時間的介入が有効です。

一方、行動への介入では、保護者を対象とした心理教育とペアレント・トレーニング(PT)が重要です。まずは過剰な叱責を控えて適切な注意をする方法や、自己肯定感を高める褒め方などを学びます。注意欠如・多動症の子どもに対しては、好ましい行動には報酬を与え、好ましくない行動には報酬を与えないなどの対応を実践し、少しずつ好ましい行動を増やしていくといった試みが行われます。

また、対人関係をうまく行うための技能を身につけるSST(ソーシャルスキルトレーニング)や認知行動療法なども行われます。このほか、遊びを通じて子どもの気持ちを表現させるプレイセラピーや、多動性・衝動性の特性を緩和する薬物療法などを併用することもあります。

注意欠如・多動症との関わり方・支援【眠れなくなるほど面白い 図解 臨床心理学】

出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 臨床心理学』監修/湯汲英史

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 臨床心理学』
監修:湯汲英史

ADHDや学習障害、統合失調症やパニック障害などの言葉を耳にする機会はありますが、なんとなく心やメンタルの不調・病気と捉えてしまいがちな臨床心理学の分野。しかし紐解いていくと実はそれぞれの症状には特性や原因があり、子どもが抱えやすいのものから大人が抱えやすいものまで様々です。また、ストレスが原因で自分では気づかないうちに発症してしまうものも。本書ではそんな一見理解し難い「心の問題」の特性や症状を図解でわかりやすく解説します。最も大切なことはしっかりと特性を理解して自分と、そして他人と向き合うことです。「自分は他人がふつうにできることができない」「職場のあの人はどうも変に感じる」「子どもがじっとしていてくれない」こうした日常のもやっとした感情も、臨床心理学を知ることで理解が深まります。また、実際に現場で心の病気を抱えた人と向き合う公認心理士師の仕事についても紹介します。臨床心理学を通して「心の問題」について知ることで、自分や他人の特性がわかり、周囲と上手に付き合っていく方法を知ることができる一冊です。

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