言葉を扱うときに困難が生じる
コミュニケーション症群/コミュニケーション障害群(CD)は、言語、会話、社会的なコミュニケーションが苦手な特性です。近年、若い世代を中心に「コミュ障」という略称が浸透しています。しかし、この「コミュ障」は単純に人間関係が苦手なことを意味する俗語として使用されていて、発達障害におけるコミュニケーション症群とは根本的に異なります。
コミュニケーション症群の特性は、左図のとおり5つに分類されています。言語の習得が困難な「言語症/言語障害」、言葉の発声が困難な「語音症/語音障害」、言葉がなめらかに出ない「小児期発症流暢症/小児期発症流暢障害(吃音)」、社会的状況に合わせた意思疎通が困難な「社会的(語用論的)コミュニケーション症/社会的(語用論的)コミュニケーション障害」、それ以外に該当する「特定不能のコミュニケーション症群/特定不能のコミュニケーション障害群」です。
語音症や小児期発症流暢症は、言語能力そのものは正常にもかかわらず、いざ話そうとすると相手にうまく伝えられません。
からかわれることを恐れ、周囲とのコミュニケーションを諦めた結果、あらゆる意欲が低下して学業不振に陥ることもあります。成長するにつれて自然と特性が改善されるケースも多いのですが、社会に出てからも対人関係に対する不安が長引いてしまいます。
出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 臨床心理学』監修/湯汲英史
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 臨床心理学』
監修:湯汲英史
ADHDや学習障害、統合失調症やパニック障害などの言葉を耳にする機会はありますが、なんとなく心やメンタルの不調・病気と捉えてしまいがちな臨床心理学の分野。しかし紐解いていくと実はそれぞれの症状には特性や原因があり、子どもが抱えやすいのものから大人が抱えやすいものまで様々です。また、ストレスが原因で自分では気づかないうちに発症してしまうものも。本書ではそんな一見理解し難い「心の問題」の特性や症状を図解でわかりやすく解説します。最も大切なことはしっかりと特性を理解して自分と、そして他人と向き合うことです。「自分は他人がふつうにできることができない」「職場のあの人はどうも変に感じる」「子どもがじっとしていてくれない」こうした日常のもやっとした感情も、臨床心理学を知ることで理解が深まります。また、実際に現場で心の病気を抱えた人と向き合う公認心理士師の仕事についても紹介します。臨床心理学を通して「心の問題」について知ることで、自分や他人の特性がわかり、周囲と上手に付き合っていく方法を知ることができる一冊です。
公開日:2023.05.26