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コミュニケーション障害を持つ人と接するときに私たちが意識すべきこととは?【臨床心理学】

Text:湯汲英史

話し方を否定しない

コミュニケーション症群はそれぞれ特性が異なるため、ひと括りにせず特性に応じた支援を考えることが大切です。たとえば、小児期発症流暢症の子どもには、リラックスして話せるような接し方を心掛けます。早口で話し掛けると、相手も「同じテンポで話したほうがいいのかな」と焦ってしまいます。ゆっくりと間をとって話し掛けましょう。

ただし、相手に対して「落ち着いて話せばいいよ」などの声掛けは逆効果になることがあるので要注意です。かえって緊張して声が出なくなるケースもあるので、言葉が出るまで待ちましょう。こうした環境調整を家庭内で行うほか、周囲や学校にも小児期発症流暢症の特性を理解してもらうことが大切です。

ほかにも、言語症と語音症に対しては、言語聴覚士による言語療法によって症状の改善が期待できることがあります。また、家族療法によって言語の発達をサポートする環境を整える方法もあります。社会的(語用論的)コミュニケーション症の子どもは、曖昧な表現を理解することが苦手で、言葉を文字どおりに受け取ってしまうことがあります。慣用句や冗談などは避け、具体的な言葉を選びましょう。

なお、いずれの特性に対しても共通している対処法は、面と向かって否定しないことです。思ったとおりに話すことができないもどかしさは、誰よりも本人が一番強く感じています。がんばって伝えようとしているのに否定されると、自己評価が下がり、コミュニケーションをとろうとする意欲を奪ってしまいます。彼らの言動で何か問題が起きたときは、どのような点が問題だったのか、理由をわかりやすく伝えるようにしましょう。

コミュニケーション症群との関わり方・支援【眠れなくなるほど面白い 図解 臨床心理学】

出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 臨床心理学』監修/湯汲英史

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 臨床心理学』
監修:湯汲英史

ADHDや学習障害、統合失調症やパニック障害などの言葉を耳にする機会はありますが、なんとなく心やメンタルの不調・病気と捉えてしまいがちな臨床心理学の分野。しかし紐解いていくと実はそれぞれの症状には特性や原因があり、子どもが抱えやすいのものから大人が抱えやすいものまで様々です。また、ストレスが原因で自分では気づかないうちに発症してしまうものも。本書ではそんな一見理解し難い「心の問題」の特性や症状を図解でわかりやすく解説します。最も大切なことはしっかりと特性を理解して自分と、そして他人と向き合うことです。「自分は他人がふつうにできることができない」「職場のあの人はどうも変に感じる」「子どもがじっとしていてくれない」こうした日常のもやっとした感情も、臨床心理学を知ることで理解が深まります。また、実際に現場で心の病気を抱えた人と向き合う公認心理士師の仕事についても紹介します。臨床心理学を通して「心の問題」について知ることで、自分や他人の特性がわかり、周囲と上手に付き合っていく方法を知ることができる一冊です。

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