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息苦しさも老化が大きな原因の1つ?自覚症状がなくても定期検査をすべき理由とは【図解 老化の話】

Text:長岡功 野村義宏

老化すると食べ物が気管に入りやすくなる

これはむずかしい話です。こんな項目を振られたら、書くほうが息苦しさを感じてしまいますね。まぁ、それはともかく“息苦しさ”とは、実は自覚症状で、病気の進行と必ずしも一致しているわけではないのです。たとえば、「酸素飽和度が低いから」「呼吸機能検査の数値が低いから」といって、必ずしも息苦しいとの訴えがあるわけではありません。心臓や肺は、外に向かって膨らむことを妨げられると、つまり“拡張制限”があると息苦しさを感じるのではないか、そう考えています。

歳を取れば、きついシャツを無理やり着ると息苦しさを感じるでしょう。このように胸郭の動き、特に吸気で胸郭が外に向かって動く動作が制限されると自覚するのです。胸郭の拡張制限での息苦しさのほかに、前胸部の“骨関節病変”、具体的には“胸骨肋骨関節炎”や“鎖骨胸骨関節炎”を起こす“サフォー(Sapho)症候群”の患者さんは、胸郭の動きが制限され、息苦しさを頻繁に訴えます(下図)。

気管支が広がりにくい病態、具体的には“喘息”や“慢性閉塞性肺疾患(COPD)”でも、かなりの頻度で息苦しさの訴えがあります。ほかにも空気の酸素を取り込む肺胞が膨らみにくい病態、“関節性肺炎”や“肺水腫”などでも息苦しさを訴えます。“気胸”という肺の周りに空気があっても肺がつぶれた状態では肺が膨らみにくいため息苦しさを感じます。

また、心臓の拡張機能不全、つまり全身の血液が心臓に戻る機能が弱くなるような心不全でも息苦しさが心臓に戻る機能が弱くなるような心不全でも息切れを感じやすい。ただし、高齢者は、酸素分圧低下や、二酸化炭素上昇に対する換気応答が低下しているため、どちらかというと息苦しさを訴えない傾向にあります。その際には誤嚥性肺炎の項目でも挙げたように、酸素飽和度の低下、呼吸数増加(息遣いの粗さ)、頻脈の有無をいち早く確認することです。たとえ本人の自覚症状がないにしろ、身体が訴えている“沈黙の警告サイン”を家族はもちろん、周囲の人たちが見逃さないようにする。それが非常に大切となるのです。

出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 老化の話』監/長岡功 野村義宏

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 老化の話』
長岡 功 総監修/ 野村 義宏 監修

高齢化や平均寿命が伸びた社会では、「老化」は誰もが避けられない、しかし誰もが可能な限り抗いたいテーマ。その多くは人体の「老化現象」、またそれに伴う「諸症状」として、完全には克服できないまでも、原因やしくみを知ってうまく対応すれば、症状を「やわらげる」ことや、日常生活での「影響を少なくする」こと、また「目立たなくする」ことが可能である。本書では具体的に、老化にともなう病気・諸症状の原因に言及し、その対処・対策法を解説、紹介する。中高年以降の健康と美容の悩みを楽しく読めて、一気に解決する一冊です。