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睡眠時に呼吸障害を起こすのも老化が原因?睡眠時無呼吸症候群の危険サインとは【図解 老化の話】

Text:長岡功 野村義宏

睡眠時の呼吸も要チェック!

睡眠時の呼吸障害で頻度が高いのは、“睡眠時無呼吸症候群”です。睡眠時に繰り返し呼吸が停止するため、熟睡感がなくなって日中に過度の眠気や体のだるさが出るのです。症状として出現するのは、大きないびき(いびきのあとに呼吸停止をきたす)、睡眠途中の覚醒、頻尿、日中の眠気、倦怠感や集中力の低下、起床時の頭痛などでしょうか(下図)。

睡眠時無呼吸症候群かどうかは、ポリンソムノグラフィ検査(PSG検査)で診断します。また、この症候群は“閉塞性”“中枢性”の2つに分類されます。閉塞性は、睡眠時に舌根が沈降し、上気道での空気の出入りを妨げるため、「閉塞性」睡眠時無呼吸症候群といわれているのです。対症療法としては、口腔内装置(マウスピース)(下図B)や持続気道陽圧装置(CPAP)を用いた治療が中心となります(下図C)。

中枢性は、睡眠中に脳から呼吸筋を動かす信号が送られないため、息の通り道に障害がなくても息が止まってしまう状態ですね。脳梗塞など脳血管障害の後遺症、心不全の患者さんで見られる症状です。特に心不全に見られる“チェーン・ストークス呼吸”。小さい呼吸から大きな呼吸となったあとに換気量が減少し、10秒から20秒呼吸停止する。その後、呼吸はふたたび同様の周期を繰り返すのですが、これも「中枢性」睡眠時無呼吸症候群の一種と考えられています。

喉の筋力が衰える高齢者の中枢性無呼吸症候群・中枢性呼吸障害は、脳血管障害や心不全の罹患率が上がるため2割方多くなります。ただし、基礎疾患の治療によって改善することもあります。また、治療にあたっては、閉塞性睡眠時無呼吸症候群と同様に、まずCPAPを用いて軽減できるかどうか検討します。人工呼吸器に近いAdaptive Servo Ventilation(ASV)を使用する場合もありますが、心不全患者さんへの適応に関しては現在再検討されているところです。

出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 老化の話』監/長岡功 野村義宏

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 老化の話』
長岡 功 総監修/ 野村 義宏 監修

高齢化や平均寿命が伸びた社会では、「老化」は誰もが避けられない、しかし誰もが可能な限り抗いたいテーマ。その多くは人体の「老化現象」、またそれに伴う「諸症状」として、完全には克服できないまでも、原因やしくみを知ってうまく対応すれば、症状を「やわらげる」ことや、日常生活での「影響を少なくする」こと、また「目立たなくする」ことが可能である。本書では具体的に、老化にともなう病気・諸症状の原因に言及し、その対処・対策法を解説、紹介する。中高年以降の健康と美容の悩みを楽しく読めて、一気に解決する一冊です。

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