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老化すると大脳が委縮するって本当なの?若者の脳と老人の脳の違いとは【図解 老化の話】

Text:長岡功 野村義宏

歳をとると大脳が小さくなる

本項のテーマは“脳の萎縮”(脳が縮んでくる、小さくなる)ということなので、神経細胞の老化の観点から概説してみましょう。脳は身体の一部です。健康な体でも起きる生理的な老化と同じように脳も加齢とともに自然に老化します。脳の老化は主に神経細胞と血管で起きてきます。

そこで、まず理解しておいてほしいのは、「脳の萎縮とは、神経細胞の数がどんどん減ってくる、その結果として起きてくる」ということです。さて、私たちがホモ・サピエンスの脳は成人で1300g程度の前後ですが、この中に140億個もの神経細胞があるといわれています。20歳ごろに脳の重量は最高になって、その後に少しずつ老化がはじまり、毎日10万個もの神経細胞の数が減っていると考えられています。そのため、90歳ごろには健常者でも若者に比べて脳の重さは5~10%程度軽くなります(下図)。

若者の脳と老人の脳の違い

では、脳委縮はどの部位に目立ってくるのでしょうか。通常(生理的な老化)であれば、下図のように前頭葉背側部や側頭葉内側部になります。前頭葉は脳全体の司令塔役とともに、意欲を生み出し、感情をコントロールするなど、人間にとってもっとも重要な部位です。また、側頭葉は記憶や言語を担う部位です。

ヒトの脳の構造

一方、通常の老化では、読み書き計算、空間認識を担う頭頂葉や視覚などを司る後頭葉の萎縮は目立ちません。さて、このような老化にともなう大脳萎縮により、人間にはどのような影響が見られるのでしょうか?その影響は、老人によく見られる「意欲が落ち」「考えることが煩わしくなり」「動くことが面倒と感じるようになり」「喜怒哀楽が前よりはっきりするようになり」「性格が変わったように周りが感じるようになり」「記憶や計算などが苦手になったり」します。といっても、この程度では生活全般に支障をきたすことはなく、自立した生活を送ることが可能です。

ただし、物忘れが日常の生活に影響が出るようになる場合は、通常の老化ではなく何らかの病気が始まっている可能性もあります。要注意です。なぜなら、生理的な老化による脳委縮ではないケースが実に多いのです!実際、頭部CTやMRI検査で脳委縮を精査すれば、アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経細胞の病気、脳梗塞など血管の障害、アルコールや覚醒剤などの乱用など、老化以外で脳移植を呈してくれる原因が判明しがちです。ですので、両親やパートナーの行動が何かふだんと違うぞ、と感じたら単なる老化のせいと考えず、すぐにでも医療機関を受診してください。

出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 老化の話』監/長岡功 野村義宏

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 老化の話』
長岡 功 総監修/ 野村 義宏 監修

高齢化や平均寿命が伸びた社会では、「老化」は誰もが避けられない、しかし誰もが可能な限り抗いたいテーマ。その多くは人体の「老化現象」、またそれに伴う「諸症状」として、完全には克服できないまでも、原因やしくみを知ってうまく対応すれば、症状を「やわらげる」ことや、日常生活での「影響を少なくする」こと、また「目立たなくする」ことが可能である。本書では具体的に、老化にともなう病気・諸症状の原因に言及し、その対処・対策法を解説、紹介する。中高年以降の健康と美容の悩みを楽しく読めて、一気に解決する一冊です。

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