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伸びる日本人の平均寿命、でも亡くなるピークは別?寿命の実態は「平均余命」で推測する方が良い理由とは!?【図解 老化の話】

Text:長岡功 野村義宏

年々平均寿命が伸びている

日本人の平均寿命はどのくらい伸びているのでしょうか。70年ほど前から高齢者の平均寿命の伸長具合をチェックしてみました。1947年(昭和22)では男性50.06歳、女性53.96歳でした。それが1989年(平成1)に男性75.91歳、女性81.77歳。2021年(令和3)には、男性81.47歳、女性87.57歳と大幅に伸びています。

ところで、平均寿命とはいったいなんなのでしょうか。これは人間以外の動植物にも適用される「生命表」、あるいは「死亡生残表」の概念なのだそうです。といっても、意味不明。そこでこう説明されています。たとえば10万人単位の各年齢層の死亡率が今後も継続されると仮定したとき、毎年の年齢別の死亡率から仮に想定された、0歳児の平均寿命が何年になるかを計算した年数とのこと。つまり、1人ひとりの寿命は予測できないが、集団での年齢に応じた平均死亡率は一定の法則を示すというわけです。

寿命の伸長は喜ばしいことですが、「長生きはする、だが元気に自立して生きられるか」が、次の大きな感心事になるやもしれません。そこで、長生きの参考のために「平均寿命の推移」「健康寿命の推移」のデータを掲載しておきます。データを見れば、本書で示してきたように「老化と健康」を意識しつつ、体調を省みて過ごせるのではないか、そんな気もします。

2つのデータの比較で明らかになったのは、2019年の平均寿命が男性81.41歳に対して、健康寿命72.68歳でその差がマイナス8.73歳、女性87.45歳に対して75.38歳でマイナス12.07歳もあったという事実です。つまり、元気で自立して生きられるのは、平均すると、男性で73歳前後、女性が75歳ほどということなのでしょう。そして、そんな実情になんらかの影響を与えているのが、独居高齢者かもしれません。

長生きにしたがって、独居率が年々増えています。全国での75歳以上の人口における独居率(単独世帯)は、2015年→20.6%、2020年→21.1%、2025年→21.6%、2030年→22.0%、2035年→22.5%、2040年→22.9%(国立社会保障・人口問題研究所 人口構造研究部データより)と推計されています。データは75歳以上の高齢者を対象にしていますが、そこまで高齢ではなくとも独居者は増えているはずです。見守る人がいなければ、健康管理はむずかしいかもしれません。高齢者は、要介護候補者です。まして、独居ではなお深刻になるでしょう。

ここまで「平均寿命」「健康寿命」を見てきました。寿命伸長には“光りと影”がありますが、光の部分では、別途、寿命がもう少し伸びるというデータがあります。75歳男性では、パッと見で「平均寿命81.41歳だから、あと6年少し生きられるのか」と思うかもしれませんが、平均寿命は0歳児の生きられる年数です。そのため寿命の実態は、「平均余命」で推測するほうが近くなります。

すると、男性87.42歳、女性91.08歳となり、男性は平均寿命81.47歳より5.95年、女性では平均寿命87.57歳より3.51年伸長します。75歳高齢者であれば、男性は平均寿命より6年ほど伸びて12年以上、女性では3年以上伸びて16年ほどになるわけです。こうしたデータから自分の余命をある程度予測できれば、老後をどう過ごすかイメージできるかもしれません。健康で充足できる老後を考えてみたいものです。

平均寿命の推移

出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 老化の話』監/長岡功 

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 老化の話』
長岡 功 総監修/ 野村 義宏 監修

高齢化や平均寿命が伸びた社会では、「老化」は誰もが避けられない、しかし誰もが可能な限り抗いたいテーマ。その多くは人体の「老化現象」、またそれに伴う「諸症状」として、完全には克服できないまでも、原因やしくみを知ってうまく対応すれば、症状を「やわらげる」ことや、日常生活での「影響を少なくする」こと、また「目立たなくする」ことが可能である。本書では具体的に、老化にともなう病気・諸症状の原因に言及し、その対処・対策法を解説、紹介する。中高年以降の健康と美容の悩みを楽しく読めて、一気に解決する一冊です。

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