部下の心服を得られていればいつでも活路は開ける
兵はただ数が多ければよいわけではない。少なくてもまとまりがあり、軽率な突撃さえしなければ、最後には敵に打ち勝つことが可能である。
兵をまとめられるようになるためには、指揮官はまず前項で論じたような手段で兵と親しむことが大切である。それができるまでは厳しい処罰を施してはならない。そうでなければ兵は指揮官に心服せず、彼らの気持ちを得られなければ、どんなに命令を下しても思うように動かせないからである。
ゆえに指揮官は飴と鞭を巧みに使い分けることによって軍隊の統制と団結を強めなければならない。
指揮官は兵たちと慣れ親しみながら公正な態度を示すと同時に、軍律に背そむく者があれば断固とした処罰を下さねばならない。
信賞必罰を明確にしなければ、兵に畏敬の念を抱かせることも、真の忠誠を獲得することもできないからである
平素から軍令が行き届いているかどうかで、その軍の強さがわかる。軍令違反が放任されていては、いざというときに兵を縦横に活用することができないからである。
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 孫子の兵法』
著者:島崎晋
新紀元前500年頃、孫武が勝負は運ではなく人為によるとし、その勝利の法則を理論化した兵法書。情報分析や見極め、行動の時機やリーダー論等、現代に通じるものとして今も人気が高い。「名言」を図解でわかりやすく紹介する。
公開日:2021.08.20