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自動車を走らすガソリンの燃費はどうやって計算するんだろう?【すごい物理の話】

Text:望月修

車にまつわる物理学

車が高速道路を時速100㎞の一定速度で走行しているとしたとき、推力は車にかかる抵抗力(=空気抵抗力+タイヤと路面の間の転がり抵抗力)と釣り合うだけのパワーを出しています。外力となる抵抗力と推力が打ち消しあってあたかも力がかかっていなかのようです。これは運動方程式の左辺の加速度が0になるためで、すなわち等速運動しているということを意味します。このことから、高速道路を時速100㎞で走っているときのエンジン出力P[W(ワット)]を以下のように求めてみましょう。

車にかかる抵抗Dは、空気抵抗力と転がり抵抗力の2つです。表に示す一般的な車の諸量※ を使って抵抗力を見積もると、D=503Nと計算できます。したがって、この抵抗と釣り合うために必要なエンジンの推力はT=503Nとなります。ですから、この推力に速度27.8m/s(時速でいうと100km/h)を掛けるとパワーPを求められ、P=T×uにより、P=14kWが導かれます。馬力(HP)では19馬力です。これで1時間走るのに必要なエネルギーは、パワーに1時間=3600秒を掛けることで求められるので14kW×3600秒=5.04×107Jとなります。ちなみに、1時間の走行距離は100㎞です。

ガソリン1リッターの持つエネルギーは、3.5×107J。このうちの15%がパワーを生み出すのに使われると仮定した場合、1時間で100㎞走るのに必要なガソリンの量は、9・6Lになります。リッター当たり何キロ走るかが燃費の評価となるので、100㎞を9・6リッターで割ると、10.4㎞/Lと計算できます。

これらのことから燃費を向上させるには、第一に空気抵抗を減らす工夫をする、特にCD値(空気抵抗係数)を小さくする、つまり、空気力学的に車に沿って空気がスムースに流れるようにデザインする必要があるのです。ですから、余計な突起(ドアミラー、ワイパーやアンテナ)を工夫して目立たないようにする、車底をスムースにする、後部形状を空力的に低抵抗にする、それに転がり抵抗を少なくするために車重を軽くすることも重要です。あなたの車はこれらの要件を満たしていますか?

自動車の車体形状で空気抵抗は大きく変化【眠れなくなるほど面白い 図解 すごい物理の話】

出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 すごい物理の話』著/望月修

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 すごい物理の話』
著:望月修

物理学は、物質の本質と物の理(ことわり)を追究する学問です。文明発展の根底には物理学の考えが息づいています。私たちの生活の周辺を見渡しただけでも、明かりが部屋を照らし、移動するために電車のモーターが稼働し、スマートフォンの基板には半導体が使われ、私たちが過ごす家やビルも台風や地震にも倒れないように設計されています。これらすべてのことが物理学によって見出された法則に従って成り立ち、物理学は工学をはじめ、生命科学、生物学、情報科学といった、さまざまな分野と連携しています。……料理、キッチン、トイレ、通勤電車、自動車、飛行機、ロケット、スポーツ、建築物、地震、火山噴火、温暖化、自然、宇宙まで、生活に活かされているもの、また人類と科学技術の進歩に直結するような「物理」を取り上げて、わかりやすく図解で紹介。興味深い、役立つ物理の話が満載の一冊。あらゆる物事の原理やしくみが基本から応用(実用)まで理解できます!

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