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原理を知ると面白い!ボールが回転しているときの変化球はどうなるのだろう?【すごい物理の話】

Text:望月修

回転を掛けたボールが起こす空気の流れ

ボールが回転していると縫い目の影響は平均化されて小さくなります。そのため、ボールの回転によって引きずられて回る空気の流れが、周囲に影響を及ぼすようになります。この回転する流れと、ボールから相対的に向かってくる流れが干渉し、まるで翼のような効果が現れます。つまり、流れ方向と回転軸それぞれに対して直角方向の力、揚力が発生するのです。流れをボールに沿って回しながら流すので、曲率を付けるのに曲線軌道を動かすための向心力としてボール表面上に低圧が生じることが原因です。

上下で流れのパターンが異なるために上方向の圧力が下側の圧力より低くなり、上方向に揚力が作用しています。上から見て時計方向に回転させるシュートの揚力は、右方向に作用するのでボールは右に曲がっていきます。反対方向にスライダー回転させれば左に曲がっていきます。回転軸を水平にしてバックスピンを掛ければ、揚力は上向きなのでなかなか落ちない直線的なラインで飛んできます。また、トップスピンを掛ければ、揚力は下向きとなって通常より大きく落ちる放物線となります。ですから、回転軸を斜めにすれば、先の効果が組み合わさったラインとなり、いろいろな変化球をつくることができます。

また、トップスピンを掛ければ、揚力は下向きとなって通常より大きく落ちる放物線となります。ですから、回転軸を斜めにすれば、先の効果が組み合わさったラインとなり、いろいろな変化球をつくることができます。なお、ボールが回転しているとき、球速による抵抗係数の急激な変化は、218㎞/hまでは起こりません。

球速が72〜146㎞/hでは抵抗係数が一定のCD=0・45でしたから、その値で回転していないときより若干小さな数値となります。したがって、ボールの減速は、回転していないボールよりは少なくなるのです。こうした数値を手の内にしたピッチャーなら、バッターが面食らう変化球を投げられるかもしれませんね。

回転を掛けたぼーるが起こす空気の流れ【眠れなくなるほど面白い 図解 すごい物理の話】

出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 すごい物理の話』著/望月修

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 すごい物理の話』
著:望月修

物理学は、物質の本質と物の理(ことわり)を追究する学問です。文明発展の根底には物理学の考えが息づいています。私たちの生活の周辺を見渡しただけでも、明かりが部屋を照らし、移動するために電車のモーターが稼働し、スマートフォンの基板には半導体が使われ、私たちが過ごす家やビルも台風や地震にも倒れないように設計されています。これらすべてのことが物理学によって見出された法則に従って成り立ち、物理学は工学をはじめ、生命科学、生物学、情報科学といった、さまざまな分野と連携しています。……料理、キッチン、トイレ、通勤電車、自動車、飛行機、ロケット、スポーツ、建築物、地震、火山噴火、温暖化、自然、宇宙まで、生活に活かされているもの、また人類と科学技術の進歩に直結するような「物理」を取り上げて、わかりやすく図解で紹介。興味深い、役立つ物理の話が満載の一冊。あらゆる物事の原理やしくみが基本から応用(実用)まで理解できます!

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