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心理学的にみた援助を受けられる人とそうでない人の違いとは?【社会心理学】

Text:亀田達也

自己責任と判断すると人は援助しない

退避勧告が出ているにも関わらず、独自で紛争地帯に行った人が武力勢力に拘束された際、「自己責任だ」と言われ批判の対象になったことがありました。

このように人が援助を行うかどうかを判断する上では、「その事態が起きた原因がどこにあるか」ということも大きな要因となります。

こうした自己責任の心理については、250名の学生を対象に行ったパメラ・ドウリーの実験によっても証明されています。

この実験では、まず参加者たちにHIVと診断された患者についての物語を読んでもらいます。この物語は全部で5パターンあり、いずれもHIV患者の話ですが、それぞれ感染した原因が異なっています。

その後、参加者にこの患者を援助したいかをたずねたところ「輸血によって感染した」というパターンの物語を読んだ参加者たちは患者への援助を申し出たのに対し、「性交渉やドラッグで感染した」というパターンの物語を読んだ参加者たちは感染したのは自業自得であると考え、援助を申し出ませんでした。

同じHIV感染という事態でも、その原因が本人にない場合は同情が生じ、逆に本人に原因があると判断した場合は嫌悪感が生じることで、援助行動に大きな差が出るわけです。

これはある意味予想通りの結果といえるかもしれません。というのも、私たちの中には「本人の不注意や軽率な行動が原因で起きた問題は、本人が解決すべきである」という考えが存在しているからです。責任の有無は人の心理に極めて大きな影響を及ぼすのです。

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 社会心理学』
監修:亀田達也

「社会心理学」は、心理学の中でも重要かつ人気のジャンル。個人同士の協力、競争、攻撃、援助など「他者との関係」、そして集団、組織など個人を取り巻く「社会との関係」をテーマとする「社会心理学」を、わかりやすく、かつ堅苦しくならないように図解・イラストを用いて紹介する。「社会現象と心理学」、「職場における心理学」「社会の在り方と心理学」など、現代日本において興味深く読めるような身近なテーマを立てて、さらにこれまで行われた心理実験と結果など、「心理学」全般の内容を誌面に取り入れて解説する。会社、学校、家庭、友人ーー集団や社会の中の個や対人関係の本質、行動原理を社会心理学から読み解く1冊!

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