椎間板ヘルニアと脊柱管狭窄症
●病院でわかるタイプの腰痛
加齢や事故により発症する椎間板ヘルニアと脊柱管狭窄症。どちらもツライ腰痛の原因となる病気です。まず、椎間板ヘルニアですが、背骨の構造について解説します。骨は硬いセメントのようなもので、柔軟に動くためにはゴムのような緩衝材が必要になります。このゴムが椎間板と呼ばれる軟骨です。しかし、その一部が加齢やケガなどにより変性し組織の一部が飛び出してしまいます。腰骨近くには神経が走っており、それが圧迫されることで痛みになります。これらは漢方や整体などの民間療法での治療は難しく、医者の診療による手術やコルセットなどの治療が必要です。一部では、整体で完治できるという宣伝もありますが、実態は変化がなかったり悪化する場合があります。
ちなみに、腰痛に繋がる神経圧迫は、腰椎変性すべり症や骨粗鬆症、腰周辺の骨折などもあげられます。脊柱管狭窄症も同じく変性した椎間板や背骨が加齢により神経を圧迫。腰痛や脚部のしびれ、痛みなどが発症します。これらは共にレントゲン写真やMRIや脊髄造影を行うことで症状が確認できます。どちらも飛び出しきって常時痛みがあるときよりも、ちょっと痛いと感じて早めに治療した方が治りが早いです。基本的には整形外科や総合病院での早めの受診をオススメします。
独自の治療はなぜ危険?
椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症は、自律神経の乱れによる心因性腰痛と異なり、病院で治せる病気です。ある程度症例があり完治や痛みの緩和が可能です。むやみに民間療法などに頼ると結果的に長期治療をすることに繋がってしまいます。
脊椎管狭窄症手術の一例(MEL)
画像などで診断が可能な場合は手術による腰痛治療もできます。脊椎管狭窄症の場合は下記のように圧迫する椎弓を切除する MEL(内視鏡下腰椎椎弓切除術)という手術もあります。
【出典】『原因不明の腰痛は自律神経が9割』
著:小林弘幸/順天堂大学医学部教授 日本文芸社刊
執筆者プロフィール
順天堂大学医学部教授。日本スポーツ協会公認スポーツドクター。スポーツ庁参与。順天堂大学医学部卒業、同大学院医学研究科を修了。ロンドン大学付属英国王立小児病院外科、アイルランド国立小児病院外科での勤務を経て、現職。自律神経研究の第一人者として、トップアスリートや文化人のコンディショニング、パフォーマンス向上指導に携わる。『医者が考案した「長生きみそ汁」』(アスコム)、『死ぬまで歩くにはスクワットだけすればいい』(幻冬舎)など、著書も多数。
病院で検査してもわからない……。原因不明の腰痛を“自律神経”から改善する一冊。国内でおよそ3000万人が悩んでいるとも言われている『腰痛』。
腰痛の原因はぎっくり腰やヘルニアなど様々ですが、実はその80%以上が原因不明と言われています。コロナ禍でカラダを動かすことが少なくなったため、「座りっぱなしだったから」「運動不足だから」と腰痛の原因を運動不足や筋肉疲労によるものだと思い込み、原因を突き止めようと病院を受診しても、結果は『異常なし』。よくわからないまま筋弛緩剤や炎症を抑える薬だけ飲むも、なかなかよくならない、という人が多くいます。また、腰痛は気になるがゆえにインターネットで検索すると、ガンや膵炎などの症状と一致することもあり、長く続くと不安に煽られて毎日楽しく生活することができなくなってしまうことも。そんな長引く謎の腰痛ですが、それはストレスと自律神経の乱れから来る現代病『心因性腰痛』かもしれません。本書では、そんな原因不明の腰痛を持つ人に向けて、自律神経の名医が腰痛の原因になっている自律神経を整えて痛みを取る『心因性腰痛』の改善法を紹介します。リラックスするための入浴法から腸がよみがえる食事法、心を軽くするために必要な考え方、生活習慣など、誰でもすぐに実践できる心因性腰痛の改善法を掲載します。しつこい痛みで、マッサージ・整体・針など、どんなに骨や筋肉への治療を試しても良くならない腰痛をお持ちの方にはぜひ読んで頂きたい一冊です。
公開日:2022.04.22