動作が機敏になり体も引き締まる
腰痛を招く原因の1つに、筋肉の衰えがあります。とりわけ体幹の筋肉が落ちると上半身を支える力が低下し、よい姿勢を保つのが困難に。その結果、猫背などの前かがみの姿勢になり、腰の不調や治った腰痛のぶり返しを招くリスクを上げてしまいます。
体幹とは、体のコア=中心部分を指し、「手と足を除く、首から下の胴体部分全体」のことをいいます。立つ、座るといった動作を始め、腕や脚を動かすときの軸にもなり、まさに「体を支える幹」として働いています。
体幹を構成するのは腹直筋や腹横筋のほか、脊柱起立筋や広背筋など、一般に腹筋・背筋としてくくられる様々な筋肉です。腹筋や背筋を刺激することで筋力バランスが整い、総体として「体幹力」が向上。体全体の安定性が高まります。筋肉の活性はもちろんですが、よい姿勢を身につけて腰の状態を安定させるためにも、体幹をターゲットとする運動を行うことをおすすめします。
本書では「体幹を鍛えるエクササイズ」を展開していますので、腰痛のある人は改善策の一環に、また現状では腰痛を発症していない人も、加齢とともに低減する筋力の底上げをはかる意味で、ぜひお役立てください。ちなみに、体幹の強化は筋力や関節の可動域の向上をもたらすため、動作が機敏になる、体が引き締まるといった副次的な効果も期待できます。
体幹を鍛えなければ腰痛は治らない!
背骨を支え、姿勢を保持する体幹は体の土台となります。ここが正常に機能しなければ、腰の状態も不安定化し、腰痛の改善も望めません。
体幹の筋肉は、腹横筋、腹直筋、広背筋、脊柱起立筋、内・外腹斜筋、多裂筋、腰方形筋などがある。
体幹は肩や胸、背中、お腹や腰まわりのこと
体幹は頭部と手、足を除いた胴体部分全体のこと。胴まわりだけをイメージしがちですが、肩や腰まわりも含めた範囲を指します。姿勢の維持のほか、腕や脚を動かす際の軸になる、などの働きがあります。
出典:『専門医がしっかり教える 図解 腰痛の話』著/吉原潔
【書誌情報】
『専門医がしっかり教える 図解 腰痛の話』
著:吉原潔
今や4人に1人が悩んでいるとも言われる国民病である『腰痛』。ぶつけた、痛めた、ぎっくり腰といった原因がハッキリしている腰痛だけでなく、『脊柱管狭窄症』『椎間板ヘルニア』『ぎっくり腰』などによる痛みや、病院で検査しても特に異常が無いと言われるものまで、痛みの原因は多種多様にあります。しかし、そんな痛みに対して痛み止めや筋弛緩剤などの薬で対処療法だけをしていても根本の治癒にはなかなか繋がらないため、しっかりと『腰痛の原因』と向き合うことが大切です。本書ではそんな腰痛を治して、長い人生を痛み無く健康に過ごすために、『脊柱脊髄外科専門医』と『フィットネストレーナー』という2つの肩書を持つ腰痛の名医による、腰痛が治らない意外な原因と、骨と筋肉にアプローチする自宅でできる腰痛のセルフケア法を紹介します。
公開日:2023.07.28